サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第44回は、近年、飛躍的においしくなっているプロテインの味について。
■味の向上に加え、溶けやすくなった
20~30年ほど前までは「プロテイン=まずい」というのが代名詞だったように思います。「まずい!」というキャッチコピーで一世を風靡した青汁もありましたが、プロテインのほうがまずさの先輩かもしれません(笑)。
そして、もうひとつ補足としてつけ加えたいのが、溶けないことでした。これは決して大げさではなく、当時のプロテインは独特の風味と溶けの悪さで、トレーニングが終わった後も、もうひとつ義務をこなさなくてはいけないといった感覚すらありました。
理由のひとつに、当時のプロテインの大半は大豆だったこともあると思います。独特の大豆臭もあり、味つけがしにくい素材でもありました。また、造粒技術などが施されていないプロテインがほとんどだったため、水に溶かせばそのままダマになってしまったのです。
その後、大豆に関してはかなり加工技術が進化して、味の問題も溶けの問題もほとんどクリアしていると思います。
もうひとつ大きいのは、ホエイプロテインの登場でしょう。もともと乳由来のために味の癖に関しては大豆よりも少なく、物性的に水にも溶けやすいため、プレーン味であってもさほど抵抗感がありませんでした。
さらに、WPC(ホエイ・プロテイン・コンセントレート)などを中心にさまざまなフレーバーが登場したことで、あたかもアイスクリームの新製品を見ているかのごとく、次々と新しい味が登場してきました。
今はプロテインがより一般に浸透してきたこともあり、国内外問わず多くの企業が市場参入をしており、ますます味のバリエーションは増えていく傾向にあります。まるでビールのように季節限定のものもありますし、競争が激しくなる分、各企業も力を入れているように思います。
最近のプロテインがおいしくなった理由は、新しい素材の登場と技術の進化の結果と言えるかもしれません。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。