学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げる連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。今回は、昨年の関西学生ボディビル選手権で他を圧倒する強さで制覇し、全日本学生ボディビル選手権では4位に食い込んだ、宇佐美一歩君にインタビュー。今回は、ボディビルをはじめたきっかけについて。
★第1回は→こちら
小さい頃から筋肉キャラに憧れていた
――ボディビルをはじめたきっかけを教えてください。
宇佐美 小さい頃から、マッチョとか筋肉っていうものに本能的に憧れていたんです。本能で鍛え始めた……っていう感じですね(笑)。思い返すと、幼稚園の頃にマッチョな人を見て「カッコイイ」って思っていた記憶があります。強さに憧れていたのかもしれません。僕は絵を描くのが好きだったんですけど、筋肉とか、マッチョなキャラクターとかを描いていましたね。昔は「ドラゴンボール」とか、「ジャングルの王者ターちゃん」とか、そういう筋肉キャラがとにかく好きでした。
――運動とかがきっかけではなく、本能的に筋肉や強さというものに憧れていたんですね。スポーツなどは何かやっていたんですか。
宇佐美 空手、野球、水泳とやっていましたね。特に空手をやっていた時には、筋肉を付けてパワーを出したいと思っていたので、よく筋トレをしていましたね。空手と野球は中学校まで続けていたのですが、高校生になってからはもう筋トレ一本に絞るようになりました。
――それまで続けていたスポーツをやめて、筋トレ一本に。
宇佐美 なんですかね……それほど、筋トレにのめり込んでいました。
――実際にはどんなメニューを行なっていたんでしょうか。やはり、自重トレーニングなどが中心ですか。
宇佐美 そうですね。基本は自重トレーニングを中心にやっていたのですが、それだけでは物足りなくなり、もともと父親が持っていたダンベルを使うようになりました。プッシュアップバーとかアブローラーを買ったのが、初めて買った筋トレ道具だと思います。あとはだんだんとバーベルとかも買い集めていくようになり、高校2年生のときにジムに通い始めましたね。
――高校3年生のときに、初のボディビル大会となった「第13回全国高校生ボディビル選手権大会」でいきなり優勝を達成しましたね。
宇佐美 筋トレをやっている人全員がボディビルをやるというわけではないと思いますが、僕の場合は他の人とくらべてもかなりやり込んでいるほうだと自分では思っていましたし、競技人口もさほど多くはないというのはわかっていたので、大会に出場したら優勝できるんじゃないかなという自信はありました。この時代なのでSNSなどで他の選手たちのことを見ることができるのですが、そこで自分の身体を見比べてみても、これはいけるんじゃないかなって。
――宇佐美君の一つ上の代には、高校3連覇、昨年の学生チャンピオンである相澤隼人(日体大)というとんでもない存在がいました。彼を意識することはありましたか。
宇佐美 いやぁもうあのレベルになると、意識というか憧れという感じですよ。相澤さんは当時も今もまったく手の届かない存在なので、対抗心みたいなもんはまったく生まれないですし、意識することもありませんでした(笑)。
変わり者だと周りからよく言われる
――ボディビルをやっている人というのは、目立ちたがり屋が多いように思いますが、自分はどういう性格だと思っていますか。
宇佐美 僕の性格は目立ちたがりというわけではまったくないんですけど、やっぱり自分が一番いいと思う状態に身体が絞れていて、最高の状態に仕上がっていれば「見せたい」っていう思いはあります。ただ、普段はまったくそんなことはなくて。むしろ小さい頃から大人しいほうだと思います。
――周りからはどんな人だと言われますか。
宇佐美 中学校くらいから「筋肉キャラ」みたいに見られていました。なので今でも周りからは、ちょっと変わったやつだとは言われますし、「何考えてるかわからん」とはよく言われます。AB型っぽいね、って。
――爬虫類が好きなようですが、その点もちょっと変わっている気がします。
宇佐美 たくさん飼ってますよ(笑)。もともと小さい頃から動物全般が好きなんですけど、だんだんと爬虫類にハマっていって……。家族として飼っているわけではなく、完全に自分のもので。もう眺めていたりするだけでも楽しいですし、餌やりも楽しくて。哺乳類とかよりも手間もかからないので、いっぱいいても世話は楽じゃないかと思います。
――ボディビルをやっていて良かったと思うところはありますか。
宇佐美 自分で工夫しながら身体を作り上げていって、その頑張りをステージ上で表現するのって純粋に楽しいですよね。優勝できたとかは「ボディビルをやっていて良かった」と純粋に思いました。続けていることで、自分に自信を持てるようにもなったと思いますし、逆に、やっていなかったら本当にどうなっていたんだだろう、何も残らないって思うときもあります(笑)。
――憧れの選手などはいますか。
宇佐美 特定の人への憧れっていうのはないですね。それぞれ筋肉の付き方とか骨格も違うと思うので、まずは自分のベストを尽くそうといつも思っています。なので、誰かに憧れることはなく、トレーニングやポージングも基本的には全て自己流でやっていますね。
――それほど自分がやっていることに自信があると。
宇佐美 そうですね。これまでも今も、トレーニングやポージングはYouTubeの動画などで参考にすることはありますけど、基本的には完全に自己流。自分の感覚が何よりも一番大切だと思ってやってきたので、教えてもらうこともほぼないですね。
(第3回へ続く)
宇佐美一歩(うさみ・かずほ)
2000年7月29日生まれ。2018年、大阪市立汎愛高校在籍時に「第13回全国高校生ボディビル選手権大会」で優勝。阪南大学に進学し、2019年、「第55回関西学生ボディビル選手権大会」で各部位賞およびベストポーザー賞含めた完全優勝を達成。「第54回全日本学生ボディビル選手権」では4位入賞。2020年、「マッスルゲート神戸」のボディビル部門にてジュニア(23歳以下)級、65キロ以下級の2階級制覇を達成した。
取材・文・写真/木村雄大