一日に必要な量の野菜を摂るためには?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第52回は、不足しがちな野菜の摂取について。

■足りない分はサプリメントでカバー

野菜は一日に350g以上の摂取を目標とするとされています。これは、厚生労働省の『健康日本21』で提唱されている数値です。決して不可能なボリュームではありませんが、毎日のことと考えるとなかなかハードルは高いと思います。

野菜が大好きで日々野菜を中心に食べるような人であれば、どうってことないボリューム感かもしれませんが、私を含めあまり野菜を食べない男性には、少し意識を高めていかないと届かない量でしょう。上手に温野菜にしてボリューム感を抑えたり、ダイレクトにサラダのように野菜として食べるのではなく、副菜にして食事に取り入れるなどの工夫があるといいと思います。

野菜の栄養素はビタミンだけではありません。各種ミネラルや食物繊維、またポリフェノールやカロテノイドのような色素も、野菜の持つ力です。

ちなみに、ビタミンB群などはほとんど含まない野菜もたくさんありますし、むしろ豚肉のほうがビタミンB群の摂取元となります。ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素が足りないと、体内の代謝が滞ってATP(アデノシン三リン酸)がうまくつくられなくなりますから、体全般が不調な状態になります。

また、食物繊維が不足すれば腸内環境が悪化しますので、これまた不調の原因ともなりますし、免疫も落ちていきます。ポリフェノールに関しては、主として抗酸化の生理活性機能を有しますので、疲労や老化を抑制してくれます。

これらをすべてサプリメントで補うというのは、仮に理論上は可能であっても現実的ではありません。できる範囲で野菜を食事に取り入れる努力をした上で、サプリメントはマルチタイプのビタミン、ミネラルを摂るといいでしょう。ビタミンやミネラルは双方にバランスを取っているので、あまり単独のものを大量に摂取するのは一部の例外を除いておすすめではありません。

マグネシウムが足りないとカルシウムがうまく働かず、筋肉の収縮がスムースにいかず痙攣や震えの原因となります。しかしカルシウムを過剰に摂取しすぎると、マグネシウム不足を招くのです。他にも亜鉛とカルシウムであったり、リンとカルシウムもバランスが重要となります。

全体にバランスを重視した上で、貧血の人はヘム鉄(赤血球内のヘモグロビンの主な材料となるミネラル)、免疫にはビタミンCあたりをプラスで摂取していくといいでしょう。また抗酸化に関しては、なかなか野菜のポリフェノールだけでは賄いきれないので、別途サプリメントで補う価値があります。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。