【Ken Yamamotoの腰痛ゼロ革命】第10回(最終回)=腰痛予防のためのストレッチ




”世界を股にかける治療家”Ken Yamamoto(ケン・ヤマモト)の連載『腰痛ゼロ革命』。世の中から「腰痛」を無くすべく、世界を駆け回るKen先生が日々痛感するのが「腰痛にならないための予防」の大切さだと言う。コロナ禍によって自宅でのリモートワークが増えたことで「腰痛になった」という話をよく聞くが、そうなる前にKen先生の「腰痛予防法」を実践しよう!

「働きすぎない、ということです。というのは、本来ならば寝れば治るはずなんです。十分に寝れば、骨盤は元の位置に戻ってくると言われています。リカバリーできるはずなのに、リカバリーできなくなった人が親指の長さがこんなにちがっちゃったりするんですよ」

Ken先生が治療の際、必ず仰向けの状態で左右の指の長さを見る。腰痛持ちの人は、必ず左右差が出てしまう。

「中枢の症状が末端に激しく表れるんです。人の体の末端は親指ですから、そこの長さを見ているんです」

――体の中枢がいかにズレて、ゆがんでいるかを見るために末端の親指をチェックしていたんですね。

「そうなんです。仰向けで、枕もそんなに高くなくて寝れるのが『健康体』と言われています。その状態で寝れるということは、どこも緊張していない、ゆがみが少ない状態で、リカバリーができます。

だから、僕もホテルに泊まると腰痛になってしまうんですよ(苦笑)。マットが柔らかすぎてお尻が沈んで、反り腰になってしまいますから。クッションは硬めが良くて、薄いせんべい布団が一番身体にいいんです」

デスクワークで、一日中パソコン作業をしている人は、編集Nさんのように腕や背中からバランスを崩し、腰痛を発症しているケースが多い(※連載第8回参照)。

その場合、利き手が前に出る形で体がゆがんでいるので、ストレッチで正しい位置に戻す必要がある。

「Nさんの場合、三頭筋の前とか上腕二頭筋をぐっと伸ばします。手に重りを付けると伸びますね」

「ペットボトルとか何かを持つと力が入ってしまうので、自然に伸びるように。ストレッチをする時間は、人によるんです。やりすぎると血管を圧迫してしまうので、長くても1、2分伸ばして、10秒間休憩して、また1、2分。

ストレッチにもいろんな考え方があって『何秒やってもいい』という人がいれば『何秒以上やると意味がない』という人もいます(苦笑)」

――Ken先生はどんなやり方を推奨していますか?

「筋肉が伸びようとすると、体のセンサーが『あ、伸びすぎた!』と必要以上に伸ばさないように制御する反応をします。これを筋紡錘(きんぼうすい)と言って、これが反応すると逆に縮もうとしてしまうので、反応しなくなるまで伸ばし続けることが大事だと思うんです」

――Nさんの場合は左右やった方がいいですか?

「これも人によるんですけど、Nさんはゆがんでいる右だけでいいです。手首に付ける重りがなければ自重でいいので、腕をダランと下げて自分で『だんだん下に降りてきた』と感じるまで伸ばしましょう。

そうして伸ばしていくと、肩が楽になると思いますよ。肩を動かしてチェックしてみてください」

Nさん「とても楽です」

筆者のような肩の痛みから腰痛になるタイプも珍しくないと言う。

「バンザイした時に肩が痛む人、両手を伸ばして中央に合わせた時に左右の高さが違っている人は、だいたい腕の動きが悪くなってから腰に痛みが出るタイプです」

「その場合は肩の周囲のストレッチを念入りにやってください。壁を使って大胸筋を伸ばすストレッチと

ヒジを耳よりも高い位置にして壁に当てて、肩甲骨の外側を伸ばすストレッチです。

茂田さん(筆者)は、とくにここの部分が硬いので、伸ばしながら自分で柔らかくなるまで揉みほぐすといいでしょう」

また、Ken先生は腰痛を発症するサインとして「アキレス腱の硬さ」を見るそうだ。

「腰痛の人はアキレス腱のストレッチが足りません。アキレス腱に付いている筋肉は2つあって、腓腹筋とヒラメ筋です。一般的に、体育の授業でやるようなアキレス腱伸ばしで伸びるのは腓腹筋だけなんですよ」

「ヒラメ筋は、ヒザを曲げて、自分の胸で押すようにしてグッと伸ばします。その場合、女性はつま先が内側に入ってしまいがちなので注意しましょう」

「ヒザを伸ばした状態でやっても、ヒラメ筋も伸びることは伸びるんですけど、腓腹筋も一緒に伸ばしているので腓腹筋の筋肉が強すぎて、ヒラメ筋はそんなに伸びないです。

ヒラメ筋が硬くなると、腓腹筋も硬くなってしまいますし、なかなか腰痛が取れない人はこの2つの筋肉から痛みが来ていることが多いので、2種類のアキレス腱伸ばしは必ずやってほしいですね」

腰痛予防には「内転筋」のストレッチも欠かせない。

「腰の悪い人は、内転筋の硬さに左右差がある人が多いです。スタンスを広めにとりながら、ヒザを遠くに押していきます。押していくと、大内転筋という筋肉がゆるんでいくんです」

「内転筋は、長時間のデスクワークをする人だと固まってしまうんですよ。コロナ禍で、自宅でのリモートワークが増えていますし、そのために内転筋が硬くなって腰痛を発症してしまう人も多いですね」

Ken先生は年末年始をスペインでの治療ツアーに費やした。今年はハワイでの解剖学実習を始め、世界を股に掛けた「腰痛を無くす活動」を再開していく。

「まだ世界の50何ヵ国しか行っていないんですよ。アフリカはモロッコとケニアだけですし、中南米はメキシコとブラジルくらい。もっともっと世界中に行きたいですね」

この連載中にKen先生が始めた「一本指整体」も、まだまだ進化させていくと言う。

「よく整体で『ボキっ』と鳴らすものがありますね。あれは強い力を加えているので、体は反動で戻ろうとして痛みが再発するんです。

でも僕の『優しさ注入』(一本指整体)は、優しく触るだけなので治るのに抵抗ができないです。体験した人の話だと『治らされてしまう』という感じらしいですよ」

「僕ね、べつにオカルトと思ってもらっても構いませんが、触らなくてもいけるんじゃないかと考えているんですよ。山梨学院大学の柔道部で治療した時も『触らなくてもいけるんじゃないか』と思って1cmほど離してみたんですけど、まだダメでした。

でも、体から5mmとか離してもいけるんじゃないかと思いますし、それがいけると診るだけで治せるんじゃないか、と本気で思っているんです。キリストもキリストの弟子も身体に触っていないですからね。祈りで治していますから。

触って『優しさ』を注入して痛みを取って、その後も痛みは、ほとんど戻っていないです。ただ、まだ体に変化を起こしているので『この先がある』と思っているんです。追求していくと、面白いんですよ。

僕は正直な気持ちを言ってるだけなんで。知らない世界、知らない周波数、知らないチャンネルもあるんだ、と一般の人にも分かって貰えたらいいんですけどね。

但し、治療家はしっかりと解剖学から学ばないとダメだと思います。いきなり一本指整体を学びたいと既に問合せが殺到してますけど教えません。

アカデミックなものをしっかり学ばれて、カラダに触れることを慣れて、普通の症状を簡単になおせるようになった先に、触れるだけ治療法が存在しています。

それにまだ出来上がって数ヵ月のテクニックをセミナーで取り上げるほど愚かではありませんよ。

一本指整体の歴史は、まだまだコレから厚くしていくんです。臨床を増やし、成果を見つめ、再現性を確認して、コレなら世に出せるとなったら少人数で教えていこうかなと思っています。

得体の知れないものだと思われるか、普通の治療ではない治療に取り組んでいると思ってくれるか。それは受け取り方次第で、その人が持ってるラジオが僕の発してる周波数に反応するかどうかかな、と思っています」

今回の取材は、たまたまコロナ禍によりKen先生が10年ぶりに日本に長期滞在していることから実現した。これからKen先生の腰痛治療がどんな進化を遂げるのか。

半年後、1年後にぜひまた取材してみたい。

 

Ken先生のYouTubeも確認してみてほしい。
↓コレが一本指整体初の患者さんの施術です↓
20年腰痛女子を【指一本】15秒で治す❢❢治らなかったら整体じゃない。

フル動画ノーカット大サービス

 

取材・撮影:茂田浩司

 

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Ken Yamamoto
東京都出身。東海大学体育学部卒業。中学・高等学校保健体育科教員1級免許取得。23歳で治療院開業。27歳で柔道整復師国家資格取得し、整骨院を開業。30歳で目黒区医師会立看護学校卒業し、免許取得。仙骨専門治療院、整形外科、総合病院整形外科、整骨院、介護センターを経て、整骨院開業。現在は、年間300日以上、海外を中心に解剖学を基に作られたKenYamamotoテクニック(KYT)のセミナー講義並びに大学の授業などを行ない後進の育成にも余念がない。腰痛患者さんの施術を招かれる各国で行なっている。KYTは現在40カ国で使われているテクニックとなっている。