「1日分のビタミン」「1日の1/3の野菜」といった食品の表記はホント?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第91回は、スーパーやコンビニなどで目を引く食品表記について。

■「1日の1/3の野菜と同じ栄養量」が含まれるわけではない

パッケージのコピーは商品を選ぶ際の、重要なポイントになりますよね。それがゆえに、メーカー側も一生懸命にキャッチコピーを考えていきます。もちろん日本国内で販売されているものであれば、表示に絡む法規もありますから、虚偽を表示するということはありません。ただし、たとえば1日の1/3の野菜は嘘でなくても、1/3の野菜と同じ栄養量が含まれているかとなると違ってきます

前回(90回目)の質問にありましたように、多くの野菜ジュースは濃縮還元といって野菜から採った栄養素を一旦濃縮したものを、あらためて水で薄めて作ります。そして製造工程で撹拌、加熱、ろ過といった作業が加わるため、食物繊維や水溶性のビタミンのようにジュースにすることで失われる栄養素があるからです。逆にβカロテンのように濃縮果汁にしても減らない栄養素に関しては、生の野菜もしくはそれ以上含まれている可能性もあります。

また1日分のビタミンのような表記の場合は、足りないものは表記の量まで添加するなどしていると思いますので、何を基準とした1日分かは確認したほうがいいかもしれませんが、基本的にはその量が含まれていると考えていいでしょう。

野菜ジュース系で気をつけるべきは、配合内容が足りているのかという点以外に、逆に砂糖や食塩などが添加されていないか、トータルのカロリーがどの程度かという点も挙げられます。健康にいいというイメージだけで、水分補給感覚で飲むようになってしまうと、いかにビタミンやミネラルが大切であっても、カロリー過多や塩分過多といった別の問題が生まれてしまいます。表記自体は間違いではないけれど、基本は食事から一般食材として食べるというのをベースに、少し足りないと思えば飲んだり、時間がない時に活用したりという使い方がおすすめでしょう。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。