1日わずか数分で血液循環を活発にする方法




掌と足裏を左右合わせるだけ

右手と左手を合わせることを合掌と言うが、インドでは右手が清浄な手で仏様を表し、左手は不浄な手で人間を表していて、合掌をすることによって仏様と我々人間が一緒になる。

西勝造氏の西式医学では「合掌」という健康法がある。文字通り、合掌をすることが健康につながるというものだ。

頭より高い位置で合掌することで血液の循環が活発になる

その合掌の仕方は仏教徒のやり方と違って、画像のように顔の前で行う。また5本の指を離れぬように密着させる。この時、下半身は正座で両足はぴったりと密着させ、左右足の親指と親指は合わせて、けっして離してはならない。これを「合蹠(がっせき)」と言う。この姿勢で前後に7~8回やって2~3分合掌合蹠のまま静止する。毎朝夕行う。

西勝造氏はこの合掌を生理的に分析し、こう解説している。

「合掌とは生物電気の回路をつくることである。合掌の位置を顔面の高さに上げることは血液の調節所である心臓の位置よりも高く保つことである。そして、清浄な血液を合掌している掌に循環させることにもなる。人間は直立姿勢を保つようになり、頭を心臓よりもはるかに高い位置に保つようになって、清浄な血液が頭脳に循環するようになって、感覚器官が鋭敏になり、人間の頭脳は発達していった。合掌の位置を顔面の高さに上げることによって、そこに清浄な血液を循環させることができ、それによって爪郭(そうかく=爪の先と爪の甲の境目にある黄色に見える線のこと)と掌の毛細管係蹄の捻転が矯正されて、血液循環が一層完全となって、掌の神経が鋭敏になる。したがってマイスネル小体(手の皮膚の触覚を感知するもの)の振動も生理学的に整正蘇活される」

非常に難しい解説だが、清浄な血液の循環によって掌の神経が鋭くなって、生命のイオンが放射されるということであろうか。つまり生命のイオンを獲得することで疾病を治すことができるということだろう。

生体力学からもこう解説する。

「合掌によって人体が左右対蹠的均衡状態を保つことになる。すると交感神経と副交感神経が拮抗状態に招来されやすくなり、体液も酸・塩基の生理的状態に保たれる。したがって心身一如、中、空、無の境地がおのずからつくられることになり、精神作用の活動分野が新しく開かれる

ちなみに「合掌四十分行」というものもある。これは血液循環の所要時間を23秒半として100回の循環が行われるのは40分かかるという計算。

この合掌を毎日続けていると、人によって差異はあるが、20分ほどすると掌がピリピリしてきて、エネルギーが湧いてくるような感じになるということだ。しかし、前述したように3分間くらいを目安にした合掌であっても、その日の体調を良好にすることができるとされる。一度、やってみると面白いだろう。

文/安田拡了
参考資料…西勝造著作集第一巻「西医学の基本」(1983年、柏樹社発行)