8/15(日)に東京・きゅりあん(大ホール)で開催された、第6回 東日本メンズフィジーク選手権大会で、小竹弘宣が40歳未満176cm以下級優勝、そしてオーバーオール優勝に輝いた。競技歴は3年2ヵ月であるものの、2019年の西日本オープンで2位、2020年のマッスルゲート東京で優勝。そして今大会では初のオーバーオール優勝と快進撃を続けている。そんな小竹に、ボディメイクに目覚めたきっかけを伺った。
「もともと身体を鍛えることが好きで、小学校から自重で筋トレをしていました。高校卒業後は自衛隊に入隊し、そこでもトレーニングを続けていたのですが、自分が鍛えるだけでなく人に教えてみたいという思いが芽生えたんです。それから専門学校に通って、パーソナルトレーナーを目指すようになりました」
「身体を鍛えるのが好き」という思いが原動力だった小竹。人と競う必要性を感じず、目指したのは競技者ではなくトレーナーだった。しかし、専門学校でのある人物との出会いが、その価値観を一変させる。
「専門学校に通い始めたころ、後に師匠となる寺島遼さんと出会ったんです。遼さんはフィジーク世界選手権で2連覇を成し遂げた方で、そんな遼さんに『トレーナーを目指すなら競技も経験しておいたほうがいいよ』とアドバイスをいただいたことが転機になりました」
実際に大会へ挑戦して負けを経験すると「悔しい」、「次は勝ちたい」という思いが湧きあがり、すっかり競技に夢中になっていったという小竹。そんな彼の成長の裏には、自身が大切にしている信条があった。
「変なプライドは一切捨てることを心がけています。遼さんはもちろん、人からのアドバイスはしっかり聞いて実践しますし、そこから自分に合わなければ、少しずつ変えていくようにはしています。偏った考えは、成長を止めてしまうと思いますから」
柔軟な考えが成長を後押し、数々の成績を残してきた小竹。今回のオーバーオール優勝の喜びを噛みしめながらも、自身が描く大きな目標を語ってくれた。
「今回の総合優勝はとてもうれしかったですが、目標はあくまでオールジャパン優勝なんです。なので、慢心せずに今後さらに仕上げていきます。オールジャパンで勝って、師匠である遼さんに恩返しがしたいですから。そして生意気かもしれませんが、追いかけるだけでなく、いずれは遼さんと並んで戦えるような選手になりたいと思います」
偉大な背中を追う小竹の躍進は、まだまだ止まらない。目標であるオールジャパン選手権でも、研ぎ澄まされた肉体を披露してくれるだろう。
文・写真/森本雄大