痩せ型タイプが健康的に太るには?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第164回は、体質によってはダイエット以上に難しいとされる「太ること」について。

■トレーニングと食事に捕食をプラス

ダイエットや減量は難しいというイメージがあるかもしれませんが、突き詰めれば意志さえあれば実現できる世界です。一方でバルクアップは非常に難しく、単なる意志だけではなかなか実現できません。極端な話をすれば、ダイエットは食事だけで対応できますが、バルクアップはトレーニングと食事双方が絶対条件となります。バルクアップに限らず痩せている人が(健康的に)太るというのも、同様にハードルの高い取り組みだと思います。

そもそもの痩せている理由が、食が細いためなのか、運動量が多くて消費カロリーが多過ぎるためか、代謝が高くて食べても食べても太れないのか、人によってさまざまです。じつは私ももともとは痩せ型の太れないタイプで、入社当時の体重は50kgを切っていました。今は77kgほどなので、30kg弱ほど体重が増えたことになります。私は食が細く、脂身が苦手で、食べ物の嗜好もあっさりしたものが好みで、そのくせ運動量が多いという典型的な太れないパターンでした。いろいろと試しましたが、健康的にという条件がつくと暴飲暴食はNGですし、動かないという選択肢もありえません。

結果として一番うまくいったのが補食です。3度の食事の合間に2度ほど小さな食の要素を取り入れていきました。今でしたらMRPなどを活用すればより完成度は上がるでしょうし、MRPを使わずともプロテインを利用したり、バナナやおにぎりを加えれば十分立派な補食となります。必ずしも模範例ではありませんが、当時の私の補食は午前中にバーを1本食べる、夕方にバナナもしくはおにぎりをひとつ食べるというレベルでしたが、昼食後にプロテインを飲むようにしたことも効果があったように思います。50kg台半ばくらいだった体重が、1年くらいで60kg台半ばにまで増えたことを覚えています。

ただ、調子に乗ってその後も食べる量をむやみに増やしていったところ、体重は頭打ちにも関わらず血液検査の数値が軒並み悪くなってしまったので、一旦ダイエットへと切り替えました。補食によって摂取カロリーを増やしつつ、目安は1ヵ月に2kgを超えないようにすることと、ある程度まで増えたら一旦ダイエットをして脂肪の合成を抑えてやるような工夫があるといいでしょう。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。