糖質制限ダイエットが完了した時の注意点は?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第179回は、糖質制限ダイエット後に注意すべきことについて。

■糖質制限後はカロリーを溜めやすい体になっている

糖質制限は、糖質からのエネルギー産生を抑えることによって、脂肪をよりエネルギーの材料として使いやすくするという発想です。また制限をより厳格に行なうことによって、脂質からの代謝物であるケトンがつくられることになり、ケトンのさまざまな機能を期待する場合もあります。

ダイエットをする場合は、大きく分けて脂質を制限するか糖質を制限するかの2択になりますが、最終的にはどちらも同じ効果が期待できるものの即効性という点で糖質制限に軍配が上がるため、最近では糖質を制限するほうが主流となっているような気すらします。では糖質制限をする際のデメリットはないのかという点ですが、ひとつは筋肉の分解が進みやすいという点です。痩せるという点においては効果を発揮するものの、筋肉が削られてしまっては本当の意味のダイエットにはなりませんから、この点は大いに注意が必要かと思います。タンパク質の摂取量を増やして血中のアミノ酸濃度を高く維持したり、グルタミンのようなアンチカタボリック効果の高いアミノ酸を利用するなど、より工夫が必要になります。

そしてもうひとつの注意点がリバウンドです。多かれ少なかれダイエットをやめた後は、リバウンドに注意が必要となります。これまでカロリーを制限していますから、一気にカロリーを増やしてしまうと使うという方向ではなく、溜めるという方向に向かってしまうからです。ダイエットは見ようによってはプチ飢餓みたいなものですから、飢餓への適応としてエネルギーを蓄えようとしてしまいます。

とりわけその傾向は、糖質を制限した場合に顕著となります。糖質は即効性のあるエネルギー源で、仮にお金に例えるならば普通預金のようなものですから、すぐに使えるお金が制限されていると今度はすぐに使える状態であるにもかかわらず、使わずにすぐに貯めるという方向に向かってしまうのです。ダイエット後も一気に戻すのではなく段階を経て計画的に戻すようにしたり、GI値など糖質の内容も意識をするようにするといいと思います。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。