近年は多くの識者がさまざまなメディアでトレーニング情報を発信し、「いったいどれを参考にすればいいんだ、何が正解なんだ」とトレーニーたちが頭を悩ませがちである。そのような中、個々の身体特性を引き出す「4スタンス理論」をベースに指導にあたっているのが、元パワーリフティング世界チャンピオン・三土手大介さんだ。第5回は、「No Limits」に込められた三土手さんの思いについて。
4スタンス理論はトレーニングのみならず
――今はNo Limitsで、4スタンス理論をベースにしながら多くの方の指導にあたっていると思いますが、お客様からの反応はいかがですか。
三土手 日々指導していく中で、「だから私はこういう動きができなかったんだ」とか「これはダメと思っていたけど、やっていいんですね」という言葉をいただくことがあります。お客さん自身で、新たな発見をしてもらっています。私もそうですが、最初に自分のタイプとか特性がわかったときに、「なぜ自分がそういう動きしかできなかったのか」とか「なぜこういう怪我をするんだろう」とか、それまで疑問に思っていたことが4スタンス理論を知ることで明確に答えがわかってくるんです。
――廣戸先生のところにはアスリートを中心に、さまざまな業界の方が足を運んでいると聞いたことがあります。三土手さんのところにも、いらっしゃいますか。
三土手 過去に、トレーニングとはまったく関係のない、音楽界の方が体の使い方を習いたいと来てくださったことがあります。最近は、音楽界でも4スタンス理論は流行っているそうですよ。もちろん、私は楽器なんてまったくできませんが。あと、中国の二胡という擦弦楽器を習っている方が以前にいらっしゃったのですが、その方は確かB1タイプだったんです。もともと関西で習っていたときには何も不具合がなかったけれど、関東に来て先生が変わってから、腱鞘炎になったりとどんどん体に不具合が生まれていったと言うんです。その方が言っていることから判断すると、先生はおそらくA1タイプなので、まったく合っていなかったんです。そういったことを説明していき、トレーニングではないけど、体の使い方などを教えてヒントを持って帰ってもらったことがあります。