佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.11 藤田英継(evergreen)前編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回はevergreen代表の藤田英継トレーナーが登場。東京大学大学院で学び、遺伝子、ホルモン、細胞レベルで体つくりを伝えることのできる知識を習得した理論派トレーナーの歩みを紹介します。

「一番大事にしているのはお客様との関係構築です」

こう語る藤田英継トレーナーは、お客様に最高のサービスを提供するべく、コミュニケーションによって、とことん相手を知ることを心掛けています。考えること、研究すること、工夫すること……その原点の一端は、水泳選手としてトップを目指した学生時代にあります。

 

「水泳は上に手を伸ばせばその分がゴールまでの距離になるので、基本的に身長が高い人が有利なスポーツなんです。僕はとくに身長と体格が影響してくる自由形の短距離を専門にしていたので、どうすれば大きい選手に勝てるのかということを考えていました。そうした中で、運動生理学のような分野があることを知り、勉強したいと思ったんです。アスリートとして一番になるのは難しそうなので、トップアスリートをサポートできる仕事をしたいと考えるようになりました」

 

アスリートをサポートするための知識を得たいと考えた藤田さんは、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、東京大学大学院へと進み、身体運動科学研究室で修士課程を修了。大学院在学中には国立スポーツ科学センター(JISS)で、研究員の補助をするなど、アスリートをサポートします。しかし、当時はそのままJISSで継続的に働けるという環境がなく、一般企業に就職することになります。

 

「どうしてもやりたいと思って就職したわけではなかったので、『これで良いのかな?』という思いはずっとありました。人生をかけてやっていきたい仕事ってなんだろう?と考えたときに、浮かんだのがパーソナルトレーナーだったんです」

 

およそ3年間、会社員として働いたのち、2008年よりパーソナルトレーナーとしての活動を開始。今ほどパーソナルトレーナーが身近な時代ではなかったため、最初はトライアスロンスクールのコーチ、選手のサポートをしながら、パーソナルトレーナーとして経験を積んでいきました。お客様にトレーナーとしての価値を提供できるのか?と不安もあるなか、最初のお客様への指導が強く印象に残っていると言います。

 

「最初に指導を任せていただいたお客様は20回コースだったと記憶しています。10回くらい頑張っていただいてもなかなか体重が落ちなかったのが、僕とコミュニケーションをとるなかで少しずつ変わっていって、最終的に結果を提供することができました。お客様にもすごく喜んでいただけて、結果も出せたことが鳥肌ものだったということをすごく覚えています。そういう意味で、最初に自分が価値を提供できると実感できたことは良かったと思います」

2016年には自身が代表を務めるパーソナルジムevergreenを設立。藤田さんは「パーソナルトレーナーはサービス業」と語ります。

 

「トレーナーがアスリートを指導するときは先生ポジションで良いのですが、一般のお客様に対しては100%サービス業だと思っています。何が違うかというと、サービス業はお客様が欲しいと思う価値を提供することです。たとえば『ダイエットをしたい』という要望があった場合、エステもあれば、健康食品的な選択肢もあって、運動するにしてもジムに通わない方法もあります。その中でなぜパーソナルトレーニングなのかということを突き詰めて考えなければいけません。お客様のことを本当に知らないとサービスを提供できないんです」

 

相手が本当に求めているものは何なのか? カウンセリング、コミュニケーションでそれを知ることで、初めてお客様が一番求めているものを提供できるようになります。

 

「お客様によっては、自分で言葉にしながらもそれが本当に欲しいものではないこともあります。『最短で痩せたい』と言いつつも、本当は運動を習慣化させたいと思っていたり、一緒に運動してくれる人が欲しいと思っていたり、精神的なサポートを必要としてたりと、様々です。ダイエットを進めていくなかで健康的になっていって、体重はそんなに減らないけど、週に1回トレーニングをして調子がいいし、続けていくことに意味があるというふうになっていく方もいます。もちろん結果を出すことは大前提で、そのうえで、本当にお客様が求めている価値を提供したいと思って試行錯誤しています」

 

ここで大事になるのが冒頭に記した「関係構築」です。この人は信頼できる、この人の言うことなら聞いてみたいと思ってもらえる関係を築くことで、本当に求めているものを理解できる。その結果、より良い成果につながることをこれまでの経験から藤田さんは実感できています。実際、お客様の中にはトレーニングの相談だけでなく、仕事やプライベートの相談をする方までいるほどで、それだけ信頼関係を構築できているという証拠でしょう。

 

「パーソナルジムさんによっては、どのトレーナーが担当しても、ある程度同じ内容でできるという意味で、こういうオーダーならこうしようというマニュアルがしっかりできているところもあると思います。だけど、僕にはそういうものは一切ありません。お客様の話を聞きながら、一つずつ仮説を検証していきながら、その方にベストなものをつくり上げていきます」

 

パーソナルトレーナーになって15年。延べ1万人以上のセッションを行ない、確かな成果を残してきた藤田さんの今後の目標は、パーソナルトレーナーを育成していくこと。昨年からパーソナルトレーナー養成講座をスタートさせました。

 

「僕自身がプレーヤーとしての旬はどんどん過ぎていくと思うので、僕よりもその時代、その年代に合ったサービスを提供できる後輩、パーソナルトレーナーを輩出していきたいと思っています。“パーソナルトレーナーとはこうだよ”という本質的なこと、技術の基本を伝えていきながら、次の世代の人たちがビジネスとしても成り立っていくようにサポートできたら良いなと思っています」

 

自身はこれまで通り、目の前のお客様に最高のサービスを提供しつつ、次の時代を担うトレーナーを育成する。藤田さんは二足の草鞋で、これからもたくさんの人の健康をサポートしていきます。

 

 

というわけで、次回は実際にパーソナルトレーニング体験も様子をお届けします。

 

 

【トレーナーPROFILE】
藤田英継(ふじた・ひでつぐ)
evergreen代表。東京大学大学院 総合文化研究科広域科学専攻 生命環境系 身体運動科学 修士課程修了。トレーニングを通しての脂肪や糖質の代謝の変化を研究し、遺伝子、ホルモン、細胞レベルでカラダつくりを伝えることのできる知識を習得。2008年からパーソナルトレーナーとして活動。科学的根拠のある指導内容、わかりやすい指導スタイルが好評となり、都心のスポーツクラブで3年連続売上トップを獲得し、これまでに延べ10,000人以上のセッションを行なう。2016年、自身が代表を務めるパーソナルトレーニングジムevergreenをオープンした。

 

【店舗情報】
evergreen
〔料金〕※税別
カウンセリング=無料
体験トレーニング=5,500円
※体験トレーニング当日に入会された場合は体験料を無料。
入会金=33,000円
パーソナルトレーニング12回コース(2ヵ月)=198,000円(16,500円/回)
パーソナルトレーニング16回コース(2ヵ月)=246,400円(15,400円/回)
〔カウンセリング・体験トレーニング予約可能な曜日〕
月曜~金曜 11:00~21:00(最終受付20:00スタート)
土曜 10:00~18:00(最終受付17:00スタート)
※日曜定休

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。