佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.11 藤田英継(evergreen)後編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。藤田英継トレーナーの後編はトレーニング編です。呼吸や体のひねりなど、普段はあまり意識しない部分を動かすことで、見た目は地味でも強烈なトレーニングとなりました。

パーソナルトレーニングを受ける人は、ダイエット、ボディメイク、機能改善……など、明確な目標がある場合がほとんどです。私、佐久間の場合、「パーソナルトレーナーさんを紹介する」というのがこの企画の目的。自分の目的が明確ではありません。前編で紹介したように、藤田さんはお客様が一番望むものを提供するというスタンス。会話の中で私が目指すものを明確にしていくことからスタートしました。

体が硬く軽やかに動かず、腹回りももっとシュッとしたいという私の問題を解決するべく、まずは体の状態をチェックしていきます。

姿勢のチェック
目をつぶってジャンプ

 

立ち姿勢の確認から、目をつぶった状態での10回ジャンプ。この動きを見て、股関節が使えていないこと、ケガの影響もあって姿勢が右に回ってしまっていることを確認。さらにジャンプの動きから肩が上がっていて、呼吸が浅いという仮説を立てます。

「呼吸は人間にとってもっとも基礎的な体幹を使う運動です。その機能が落ちているということは、お腹周りの筋肉を日常生活で使えていない可能性が高いと思います」(藤田さん)

今度は前屈から、かかとが浮かないように手を前に持っていき、つま先にタッチするように戻っていきます。

「下に手がつかない人も多いので柔軟性はありますが、その中でどこが硬いかといったら、ふくらはぎともも裏です。あとは少し後ろ体重になっています」(藤田さん)

骨盤のチェック

続いては骨盤のチェック。骨盤が後傾しており立ち姿勢で十分にお腹の筋肉が使えていないとのこと。後屈では肋骨のあるエリアの背中の硬さを指摘されます。

「本来、頭は骨盤の上にほしいんですけど、骨盤が後傾した感じになってしまっています。なのでアプローチしていく部分とすると、背中の柔軟性、下腹部の筋肉に『働きなさい』という命令を出す。それを定着させていくために、下半身の裏側の柔軟性を整えていきます」(藤田さん)

状態を見て何をやっていくべきかの方針が決定しました。まずは呼吸が浅いという部分へのアプローチです。

鼻から思い切り吸う
息を吐ききる

ヒザを曲げて仰向けに寝て鼻で呼吸をします。背骨が硬いため、思い切り吸うと腰が浮いて首に力が入ってしまいます。「脇腹を締める意識でグーっと吐いてください」とアドバイスを受けてトライ。さらにお腹を締めたまま胸に空気を入れるように呼吸をします。見た目には伝わりづらいかもしれませんが、これだけ真剣に呼吸をしたことがないので、かなり腹筋の力を使ってきつい! 終わってからお腹を触ると、腹筋が締まった印象がありました。

「腰を反らないように気をつけたので、硬かった背中にストレッチをかけました。後屈の動きがスムーズになります」(藤田さん)

背中がストレッチされて劇的に柔らかくなった(右)

見てください、この違い! 左が最初の後屈で右が呼吸をした後の後屈です。まったく背中の柔らかさが違います。

続いてはベンチ台に後頭部と肩甲骨をつけて、腰を落としていき、胸のエリアにストレッチをかけていきます。

腰を落として10秒キープ。一度上げてもう1回落として10秒キープを繰り返します。息を吸って下ろし、吐きながら戻します。胸が使えていないことでお腹を使えてないことを矯正していくためのストレッチです。

胸と背中をストレッチしたところで、続いてはツイストの動きです。四つ這いのつくり方のポイントは、股関節の真下にヒザがくるようにして、脚の幅は拳2個分。肩の真下に手を置いて、腰は少し反らせて胸を張って肩甲骨を寄せます。この基本姿勢ができたら、左手を胸にあてて右手で床を押しながら左を向きます。今度は反対に右ヒジを曲げながら体を内側に入れて左ヒジを遠くにつけるようにします。

 

硬くてひねれない

ビックリするくらい背中が硬い! 骨盤の位置を動かさないようにしてやると、体が動きません。これを左右両方行ないます。

続いてはスイングストレッチという器具を使います。これを下腹部にあててうつ伏せになり、揺らしたり、手足を伸ばしたりという動きです。

スイングストレッチの基本姿勢

肘をついて、脚はヒザを少し外に向けるカエル足。頭を少し高くして肩甲骨を寄せる。まずはこの基本姿勢から深呼吸。吸った時にスイングストレッチが当たっている下腹部に空気が届くようなイメージで吸います。

背中をひねってお尻を見る

スイングストレッチを動かさずに背中をひねってお尻を見るようにします。均等に体重をかけたまま動かすのが難しい。「背中にダイヤルがついているイメージで」「肋骨が左右にアコーディオンみたいな動きをするように」と、藤田さんが動きをイメージしやすい言葉でアドバイスしてくれます。しかし、背中が硬くて撮影しているカメラマンは何をやっているかわからなかったそうです。こっちは必死だったんですよ!

バランスを保ったまま手、足を伸ばす

最後はスイングストレッチに均等に圧をかけたまま、手足を伸ばすという動きです。全体重をスイングストレッチにかけるように感覚を研ぎ澄まして行ないます。

これにて今回のトレーニングは終了。

スイングストレッチから立ちあがったときに体に軸が通った感覚があり、その場でのジャンプも軽やかになりました。普段使えていなかった部位に刺激を入れ、体をストレッチしたことで、ずいぶん体が軽くなった印象がありました。

「普段デスクワークでは下半身はイスに頼って、手は机に頼って、軸がなくても座れてたのが、今は腹筋の軸がつくれるようになっている状態だと思います。これができるようになってからトレーニングをすると、より良い効果を得られます」(藤田さん)

連続して行なうパーソナルトレーニングでは、こうして段階を踏んで積み上げていくことで、目的達成へとつながっていくのでしょう。今回はほんのさわりだけかもしれませんが、それでも体がすごくスッキリしました。

藤田さん、ありがとうございました。

 

 

【トレーナーPROFILE】
藤田英継(ふじた・ひでつぐ)
evergreen代表。東京大学大学院 総合文化研究科広域科学専攻 生命環境系 身体運動科学 修士課程修了。トレーニングを通しての脂肪や糖質の代謝の変化を研究し、遺伝子、ホルモン、細胞レベルでカラダつくりを伝えることのできる知識を習得。2008年からパーソナルトレーナーとして活動。科学的根拠のある指導内容、わかりやすい指導スタイルが好評となり、都心のスポーツクラブで3年連続売上トップを獲得し、これまでに延べ10,000人以上のセッションを行なう。2016年、自身が代表を務めるパーソナルトレーニングジムevergreenをオープンした。

 

【店舗情報】
evergreen
〔料金〕※税別
カウンセリング=無料
体験トレーニング=5,500円
※体験トレーニング当日に入会された場合は体験料を無料。
入会金=33,000円
パーソナルトレーニング12回コース(2ヵ月)=198,000円(16,500円/回)
パーソナルトレーニング16回コース(2ヵ月)=246,400円(15,400円/回)
〔カウンセリング・体験トレーニング予約可能な曜日〕
月曜~金曜 11:00~21:00(最終受付20:00スタート)
土曜 10:00~18:00(最終受付17:00スタート)
※日曜定休

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。