子どもに筋トレをさせてもいいですか?【バズーカ岡田にきけ!】




これからボディビルを始める初心者から、大会出場もあるベテランまで。あらゆるボディビルダーの悩みを骨格筋のエキスパートであるバズーカ岡田先生に、ズバリきいてしまう連載企画。第15回は、子どもに筋トレさせるべきか否かについてきいてみました。
※本記事は2017年に投稿された記事を再編集してお届けするものとなります。

させてもいいが、ほかにすべきことがある

子どもに筋トレをさせても問題ないか? と言われれば問題はありませんが、あまり効果はありません。それよりも子どもの時期にこそ伸びやすい、身体操作を向上させるような運動をさせることのほうが重要です。今やっているスポーツの技術が伸びるような動きの練習をさせることです。具体的に言えば、野球やサッカーなどの球技であれば、できるだけ多くボールに触れ、質の高い動きを真似させて、自分なりのコツを掴ませるのです。有能な指導者がいればそれに越したことはありませんし、あるいは走ったり跳んだり、そういう動作を多くして体が連動して動く感覚を掴むことが身体操作の技術を成長させることにつながります。

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身体操作の技術を大人になってから伸ばすのは難しいので、筋トレをさせる時間があったら、技術練習をさせたほうが効果的です。筋トレは高校生以上になって体がある程度できてからのほうが伸びますから、子どもの頃からやってもあまり意味がありません。時間の有効利用ですね。

そもそも小学生くらいの子どもに筋トレをやらせても、あまり筋力はつかないんです。もちろん、バーベルを持たせれば使用重量は伸びますが、それは筋肉がついているのではなく、神経系の作用によって大きな力が出せるようになっているだけです。もちろん、そのことに意味がないわけではないですが、子どもの頃から力に頼ってしまうと技術練習をおろそかにしがちです。競技スポーツの技術というのは一朝一夕ではなかなか伸びなくて時間がかかるもの。そういう時間のかかる練習を積み上げることに子どもの頃から取り組んでいたほうが、あとになってから絶対に競技成績が伸びます。筋トレをしている時間があったら、身体操作をうまくするような練習をさせたほうがいいでしょう。


岡田隆(おかだ・たかし)
1980年、愛知県出身。日本体育大学教授、博士(体育科学)、理学療法士、ボディビルダー。東京都立西高校卒、日本体育大学卒、同大学院修了、東京大学大学院単位取得後退学。日体大にて筋肉に関する研究と教育を行なっている。トップアスリートから一般の方までそれぞれに適した身体づくりを提案・指導しつつ、自らも身体づくりの究極の実践者としてボディビル競技への挑戦を続けている(2016年日本社会人ボディビル選手権大会優勝など)。2021年東京オリンピックでは、柔道全日本男子チーム体力強化部門長として史上最多5個の金メダル獲得に貢献。骨格筋評論家「バズーカ岡田」として『ホンマでっか!?TV』など多くのメディアに出演。公式YouTubeチャンネル「バズーカ岡田の筋トレラボ」は登録者約25万人(2022年4月現在)、『除脂肪メソッド』など著書は累計100万部を突破している。社会実装が重要と考えており、実践と学術研究から得られた実践的・科学的知見を実際に享受できる場として、パーソナルジム「STUDIO BAZOOKA」やボディケアサロン「ACTIVE RESET」を展開している。
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