サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する新連載。第8回は、なかなか気づきにくい栄養の偏りについて。
※この記事は2020年に投稿した内容を、再編集してお届けするものとなります。
■朝食はタンパク質不足に陥りやすい
一般的な日本の食生活ということで言えば、食物繊維やカルシウムは不足しています。
カルシウム不足に関しては日々、牛乳をプラス一本飲むくらいの努力が必要ですが、子どもの牛乳離れなどもありますので、カルシウムへの意識を高めておく必要はあると思います。
カルシウムと相性がいいのはビタミンDですが、こちらは日光を浴びることで作られるビタミンでもありますから、とくに日焼けを嫌う女性の場合は少し意識を高めておいたほうがいいかもしれません。
逆に漬物文化の影響もあって、ナトリウム(塩分)は諸外国と比べて過多の状態にあります。
アスリート、とくに持久系の競技をする人の場合は、鉄不足も顕著です。疾患によるものではありませんが、「アスリート性貧血」と言って鉄の消耗度が激しいことによる鉄不足です。鉄には植物性の非ヘム鉄と動物性のヘム鉄がありますが、鉄不足に対応するのであれば吸収性の高さを考慮してヘム鉄がおすすめです。
それ以外のミネラルでは、亜鉛が不足しがちです(とくに女性、子ども、高齢者)。日本人全体で平均すると、ほぼ推奨量に近いレベルにあるものの、そもそもの推奨量自体が低めに設定されているように思うのと、耐用上限値が随分と高く設定されていることもありますから、亜鉛は多めに摂取するべきだと思います。
タンパク質に関しても、不足の心配があります。高齢者はよりタンパク質の必要量が上がっていくので、とくに高齢者やトレーニングをする人はトータルの摂取量を意識するべきでしょう。タンパク質はアミノ酸となって吸収されますが、アミノ酸は体内で貯えておけない栄養素です。したがって一度の食事で大量に摂取をしても、その後長時間にわたって摂取をしないとタンパク質不足の状態になります。
一般的に問題になりやすいのが朝食です。朝食でタンパク質摂取量が不足した場合、昼食までの間には足りない状態を生んでしまいますので、仮に一日トータルで足りていたとしても、部分的に不足の状態を作っている可能性があります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。