佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.18 山田太平(at ease)前編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回は兵庫県尼崎市のパーソナルトレーニングジム「at ease(アットイーズ)」代表の山田太平トレーナーです。前編では山田さんのトレーナーとしての歩みを紹介していきます。

「僕はこの仕事自体が趣味なので、やっているだけで楽しいんです。その中で同じことをしないということを考えていて、常に第三者的な自分を置きながら、違うアプローチはないかな?と考えています」

 

仕事は趣味だから楽しい。常に変化、進化を追い求めているから、飽きることがない。そんな好奇心と研究心が、山田太平トレーナーの原動力となっています。

 

その原点は幼少期から培ったもの。山田さんは両親から「あれやれ」「これやれ」と言われることはなく、自分のやりたいことは自分で決めなさいという教えのもと、育ってきました。

 

「僕は一人っ子なのですが、親が必要以上に介入することはなく、結構ほったらかしで育てられました。『あんたがやりたいならやり』と言われて、自分で望んで器械体操を始めて、愚痴を言ったときには『嫌なら辞めたらええやん』と言われました。そうしたなかで、好きなことをやらせてもらっているのだから、自分で考えて取り組むのは当たり前なんだと思うようになったんです」

 

自分で進む道は自分で考える。そうして器械体操に打ち込んだ山田さんは、13年間競技に取り組み、インターハイや国体にも出場するほどの腕前となりました。好奇心と研究心は、その後のチャレンジにもつながっていきます。ボクシングを始めると、C級ライセンスを取得。また、スポーツとは違う世界も知るためにとサラリーマンも経験しました。サラリーマンを経験したことで、自分にはスポーツの世界が一番合っていると再認識し、トレーナーの世界へと進むことになります。

 

本格的にトレーナーとして活動していくために、専門学校に2年間通って、機能解剖学や運動生理学などを学びます。学校とは別に理学療法士の方からは運動療法も学び、知識をトレーニング指導に生かしてきました。

 

2008年に「at ease」を設立後は、トレーナーとしてお客様を指導するだけでなく、人材育成にも着手。トレーナーやセラピストが根拠のある知識や技術を獲得して自信をつけてもらうための教育の場として、定期的なセミナーや養成スクールを開催してきたのです。

 

「トレーナーはトレーニングばかりで座学を学ぶことが少なかったり、理学療法士は体を動かすことより座学が多かったりというケースが多いので、そのバランスを取りたいなと思ってトレーナーを育てていました。お客様のことを考えたら、両方ができるほうがいいですからね。

at easeにはリラックスという意味があります。ブリティッシュで言うと、日本人がお風呂に入ったときに“あぁー、気持ちいい”というのを“at ease”と言います。そうした意味から、我々トレーナー陣はトレーニングの指導だけでなく、全員が整体やリラクゼーション的なケアもできるようにということを心掛けています。たとえばトレーニングの中で関節の動きがどこか悪かったときは、そこでトレーニングを中止ではなく、先に動きを良くしてからトレーニングに戻すということができます。F1レースでいうピットインのような形です」

山田さんのトレーニング指導の幅は広く、下は5歳の子どもから上は90歳を超える高齢者まで。さらにはプロゴルファーやプロボクサーといったアスリート、ミスユニバースのファイナリストと多種多様。ターゲットを絞って指導するのも一つの道ですが、山田さんはターゲットが広がれば、それだけ気づきが多いと言います。

 

「マンネリしないように1週間のスケジュールを組みたいと思っています。高齢者だけを見るとなると慣れが出てしまいます。そこに一般の方や子どもを挟んだり、アスリートの指導をしたりすると、いろいろな視点で、物事を3Dで見られるというか、そうしたほうが頭が回りやすくなると感じています。そして常に自分で自分に『ホンマにこれでええんか?』と問いかけるようにしています」

 

常に研究心を忘れない山田さんが、もう一つトレーニングで大事にしていることは、日本人に合ったトレーニングをするということ。実際にアメリカでトレーニングを学んだ経験もあり、その奥深さを知ったからこそ、日本人の良さを大事にしています。

 

「約20年前のハワイはマッチョ系のトレーニングが多くて非常にハイレベルでした。コロナが広がる少し前にハワイに行ったときは、ファンクショナルトレーニング、丁寧に動く方がすごく増えていて、日本のレベルをかなり凌駕していることを感じました。日本はアメリカから入ってきたトレーニングをそのまま取り入れるという形が多いのかもしれませんが、日本人には日本人の骨格に合ったトレーニングがあります。骨盤の位置や得意な体の使い方が違うので、日本人には日本人用のトレーニングというのを広めていきたいです」

 

トレーナーとして日々考え、新しいことを模索する山田さんは、将来的に大きな夢を描いています。それは大阪にトレーニングの“シリコンバレー”をつくるといこと。

 

「東京にはJISSやNTCというスポーツの拠点があります。大阪にもそういう本気のアスリートをつくるという環境、何か困ったらその場所に行けばいいという萬屋のようなものをつくりたいとい思っています。それはお金もかかることなので夢ですが、トレーニングのシリコンバレーみたいなものをつくりたいです」

 

夢を描くことすらできない人間には、夢を実現することなんてできない。山田さんは大きな夢に向かって、持ち前の好奇心と研究心でチャレンジを続けていきます。

 

というわけで、今回はここまで。次回は実際にトレーニング指導をしてもらいます。

 

 

【トレーナーPROFILE】
山田太平(やまだ・たいへい)
at ease代表。2008年に2人のトレーナーで「at ease」を設立。キッズ、一般、アスリート、高齢者の方まで幅広く、トレーニング指導、ケアを担当する。プロゴルファー、プロボクサー、ミスユニバースファイナリストなどのトータルコンディショニングも担当。デイサービスぱなさんぶるにおいて運動療法、また職員の研修講師としても活動している。
★資格=NSCA CPTパーソナルトレーナー、プロボクシングⅭ級ライセンス

 

【店舗情報】
パーソナルトレーニング「at ease」
住所:尼崎市尾浜町3-31-13
営業時間:月~土 10:00~22:00 日・祝 10:00~20:00 ※年中無休(年末年始・夏季休暇を除く)
パーソナル料金=11,000円(60分)※その他のトレーナーは8,000円(60分)
【2カ月まとめてお支払いの場合】
★月4回コース=56,000円(1回あたり7,000円)
★月8回コース=88,000円(1回あたり5,500円)
ボディケア料金=6,600円(60分)、3,300円(30分)
※その他のコースはHP参照

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。