肉と魚、タンパク質はどう違う?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。今回はタンパク質の種類について。※この記事は2020年に投稿された内容を、再編集してお届けするものとなります。

■アスリートにおすすめのタンパク質源は、豚とマグロ

タンパク質を構成しているアミノ酸の組成は、肉と魚で違ってきます。

牛肉とマグロのどちらも、アミノ酸スコア(食べ物に含まれる「タンパク質」の量と「必須アミノ酸」がバランスよく含まれているかを数字で表した指標となるもの)100の良質なタンパク質で、必須アミノ酸が必要量含まれるという点では共通ですが、その比率は異なります。

これは肉と魚に限らず、同じ肉でも牛、豚、鶏によっても異なります。

魚でも、青魚には不飽和脂肪酸が豊富に含まれますし、赤身の魚の血合いなどにはヘム鉄(赤血球内のヘモグロビンの主な材料となるミネラル)が豊富で、それぞれ特徴があります。鮭にはアスタキサンチンというカロテノイド(黄、橙、赤色などを示す天然色素)が含まれていて、強い抗酸化の力も持ちます。

また、食材としては魚のタンパク質のほうが消化に優れていると言われます。肉に比べ、魚はスジの部分が少ないことによるもので、胃腸が疲れている時などは魚のタンパク質を中心にするといいかもしれません。

魚の種類にもよりますが、マグロの赤身やカツオなどは究極の高タンパク低脂質のタンパク源と言えますから、ボディメイク的にもパーフェクトと言えます。

もちろん肉のタンパク質は、栄養価的には無敵に近い状態です。BCAAなどのアミノ酸が豊富に含まれているので、筋肉をつけるという観点からはとくにおすすめです。

肉の中でも牛は、最もBCAAの含有率も高く栄養価に優れていますが、豚はビタミンB群が含まれていますし、鶏は低脂質な上に部位によってはアンセリンやカルノシン(ともにアミノ酸の仲間)が豊富に含まれています。昨今話題のβアラニンとヒスチジンのペプチド(タンパク質とアミノ酸の仲間)ですので、抗疲労の素材として注目されています。

ちなみに、アンセリン、カルノシンは魚にも含まれていますから、鶏は魚の長所を取り入れた肉という見方ができるかもしれません。もしアスリートにおすすめのタンパク質源となる食材は?と問われれば、まずはバランスよく色々な食材をと答えますが、その中では悩んだ末に豚とマグロと答えると思います。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。