「チートデイ」は是か非か!?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。今回は、食事制限時に好きなものを食べていい日を設ける「チートデイ」について。※この記事は2020年に投稿された内容を、再編集してお届けするものとなります。

■中途半端では意味がない

ダイエットをしたことのある人なら、「チートデイ」という言葉を使ったこともあるかもしれませんね。チートは「ダマす」「ズル」といった意味で、つまり「食べてもいい日」のことです。

どの程度の食事制限なのか、また期間はどれくらいなのか、順調に進んでいるのかなど、前提条件は出てきますが、チートデイは停滞期を脱するひとつの手法としてはアリだと思います。

とくに比較的長期間の減量をする場合には、必ず途中で停滞する期間が訪れます。これはカロリー制限などに対して体が適応した結果ですので、ある意味においては自然な反応だと言えます。しかし、多くの場合は代謝自体を下げて適応することになりますので、なるべくこの期間は短く済ませて次のステップへと移行したいのです。

その際に、チートデイは有効な手法のひとつです。食事やカロリーは制限されていないよ!と体をダマすのです。

やり方はいろいろで、1週間に1日程度、食事を解放するというケースが多いように思います。長期間の場合は、当初から計画的にチートデイを入れる場合もありますし、停滞しはじめてから始める場合もあります。また、停滞したら都度、チートデイを試す人もいたりします。

計画的に取り入れる場合は、チートデイというよりもチート食という感じにして、丸1日の解放ではなく、夕食だけを解放するようなやり方です。また、すべてやみくもに解放するのではなく、制限している栄養素を中心に解放する方法もあります。例えば脂質カットをして減量している場合には、週に1回のチート食で脂質をしっかり摂るような方法です。単純炭水化物(単糖類)を制限しているのであれば、1食だけ単糖類もOKにしてやるのです。

チートデイを取り入れる場合にもう一つ大切なことは、ビクビクしながらやらないことです。脂質をカットした日々を送る中で、脂質を摂る行為は時として躊躇するかもしれませんが、そこを中途半端にしてしまうとチートデイの意味がなくなります。場合によっては翌日、瞬間的に体重増となりますが、すぐに戻りますし、人によってはたくさん食べたのに体重が落ちたというケースもありますから。

体をダマすと同時に、脳に対して安心感を与える効果も期待できます。減量がしんどくなっても、1週間に1度のチート食を楽しみに減量食を続けることができるようにもなります。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。