「ピラティス」って何? 初心者目線の疑問を解決!




近年話題になっている「ピラティス」というエクササイズ。どこか聞き覚えがあるものの、実際はどういった効果があるのでしょうか? 率直な疑問を解消するべく、VITUP! 編集部がピラティススタジオを取材させていただきました。

今回ご協力いただいたのは、JR飯田橋駅から徒歩5分の立地に新オープンした、『sanare Pilates&Conditioning(サナーレ ピラティス&コンディショニング)』の野口早苗先生。

サナーレ先生の愛称で、クライアントに親しまれている野口先生

野口先生はピラティスを約20年間指導しており、姿勢調律協会の代表理事も務めているベテランインストラクター。かつてダンサーだった先生は、高校卒業後のニューヨーク留学を機にピラティスの魅力に目覚めたといいます。帰国以降は一般からアスリートまで、幅広い人の指導にあたっています。そんな野口先生に、ピラティス経験ゼロの編集部員・森本が、率直な疑問を伺ってみました。

ヨガとは一味違う? ピラティスの効果に注目

――野口先生、今日はよろしくお願いします。まず、ピラティスとはどういったものなのでしょうか。

「ピラティスは第二次世界大戦の時、ドイツのピラティスさんという方が兵士のリハビリのために開発したのがルーツです。主にインナーマッスルを鍛えることで、体の不調を改善していくエクササイズになります」

――ピラティスを通して、どのような効果を得ることができますか。

「先述したインナーマッスルを鍛えることで、腰痛や肩こりの軽減、姿勢改善、ダイエットなどに効果を発揮します。ピラティスにおいては、『人間が本来あるべき状態に戻るためのもの』という考え方を大切にします。姿勢改善ひとつ取っても、衰えた筋力を戻すことで、問題が解決に向かう場合があります」

――まさに、リハビリに近いエクササイズなのですね。

「はい。体に起こっている問題を修正していくという感覚です。たとえば筋力の左右差を可能な限りなくしたり、間違った筋肉の使い方を正すといったことに取り組んでいきます」

――ピラティスにおいては、お話しいただいた『インナーマッスル』、『姿勢改善』に加えて、『呼吸』も大切な要素だと伺いました。

「はい。一般的にピラティスでは胸式呼吸を用いますが、私のレッスンでは胸式と腹式の両方を使い分けることもあります。呼吸が浅い方は、呼吸を整えるだけで自律神経が整う効果が期待できます。正しい呼吸で横隔膜の筋肉を広げることで、背骨の歪みや内臓の位置の乱れを改善することができます」

――呼吸のポイントはどのような点でしょうか。

「呼吸を通して、体のコアを締める感覚を意識することです。基本的に吸った時はリラックスして、吐いた時におへその下あたりを締めていきます。そうすることで内臓の位置が下がってしまったものを、元に戻す効果が期待できます」

――イメージが重なるのですが、ヨガとピラティスの違いはどのような点ですか。

「ヨガは本来の目的として、瞑想のように精神面を整えることがメインです。ピラティスはインナーマッスルを鍛えるトレーニングの要素が強いですね。ヨガとは似て非なるもので、どちらを好むかはお客様によってそれぞれです。ヨガがインド、ピラティスはドイツという発祥国の違いもあります」

――日頃ピラティスを指導するにあたって、どういったニーズのお客様が多いですか。

「腰痛や肩こりに悩む方が多いです。乱れた姿勢や骨盤の歪みを解消したい方や、ダイエット目的という方もいらっしゃいます。お客様にはアスリートの方もいるので、その時は強度を上げた、トレーニング要素がより強いメニューをつくっていきます。メニューの強度設定に柔軟性があるので、ニーズに合わせたエクササイズを設定することができます」

――ボディコンテストに出場している女性の方には、ピラティスを取り入れている方もいらっしゃると聞きます。

「そうですね。ボディメイクにおいても、土台をつくる上で有効かと思います。ピラティスは、さまざまな競技において好影響を与えることができると思います。私もずっとダンスをやっていて、自分のコンディションづくりのためにピラティスを始めました。日常生活の中でどうしても体が歪んだりするので、それを整える効果があるのは大きいです」

――実施方法についてですが、ピラティスはすべてマット上で行なうのでしょうか。

「いえ、方法はマットピラティスとマシンピラティスの2種類が存在します。マシンは強い負荷を一定にかけることができますが、個人の条件に細かく合わせづらいのが難点です。筋トレでいうと自重トレーニングと、ジムでのトレーニングのようなイメージですね」

――先生が感じる、ピラティスの魅力を教えていただけますか。

「大きな魅力は、年齢を重ねても取り組める点だと思います。マシンを使ってのアウターマッスルのトレーニングなどは、歳を取ると強度的に厳しいですよね。ピラティスは激しすぎないですし、心臓に大きな負荷がかかるわけでもありません。体の柔軟性を高めたり、ダイエット効果もありますから、長く健康を支えてくれると思います」

リハビリ由来のエクササイズであるピラティス。体を整えるために大きな効果を発揮してくれそうです。とはいえ百聞は一見にしかずということで、編集部員・森本もピラティスを体験できることになりました。初のピラティス体験は、いったいどのようなものになるのか……? 次回は体験の模様をリポートします。お楽しみに!

取材・文/森本雄大
写真/シュー・ハヤシ