リハビリがルーツであり、インナーマッスルを鍛えることで体の不調を改善するピラティス。実際はどのようにエクササイズを行なっていくのでしょうか。VITUP! 編集部の森本が、初心者でもできるレッスンを体験させていただきました。
今回もご指導いただくのは、sanare Pilates&Conditioning(サナーレ ピラティス&コンディショニング)の野口早苗先生。初めてのピラティスに、早くもドキドキが止まりません。
「まずは、ピラティスの基本となる呼吸を身に着けることが第一です」と野口先生。おへその少し下、骨盤の真ん中あたりに位置する丹田(たんでん)を意識しながら、呼吸と合わせてゆっくり締めていきます。
リラックスした状態で鼻から息を吸い、口から吐いたら丹田を意識。腹筋の下部をぐっと締めていきます。その後、息を吸いながら腹筋を緩め、吐きながら再度締めることを繰り返します。丹田を起点とし、背骨が伸ばされるような感覚を覚えていきます。
呼吸のコツを覚えたら準備はOK。実際のエクササイズに移っていきました。いろいろな動作を行なっていきますが、いずれもインナーマッスルを鍛えることが目的です。
最初のエクササイズでは、あおむけに寝た状態で両ヒザを立て、腰に手のひらを入れることにより、背骨がカーブした状態をつくります。「このように、背中に軽くS字カーブができた状態が、背骨が一番きれいな状態です」と野口先生。この時、おへその下の腸骨と恥骨、この三角の面が天井と平行になるようにすることがポイントなのだとか。
この「背骨が立っている」状態をつくったら、息を吸って丹田を意識しながら腹筋をぐっと締めていきます。吸い込んだ息を吐いたら、また吸いながら丹田を締めるの繰り返し。単純な動作に見えますが、呼吸の度にお腹がプルプル震えるほど刺激が入っています。リハビリがルーツというのも納得です。
次はボールを使い、骨盤の左右差を取るエクササイズにチャレンジ。両ヒザの間にボールを挟み、お尻を立ててブリッジのような姿勢をつくります。腰を上げたらその場で息を吸い、吐きながらゆっくりと降ろします。自分なりに自然に上がるラインまで腰を上げましたが、野口先生からは「あと少し!」と発破がかかります。もうひと踏ん張り腰を上げると、もはや声が出せないくらい負荷がかかり、プルプルと体幹が震えました。
このように背骨を伸ばし、緩めるという動作を繰り返すことで、背骨がストレッチされていくのです。
続いては内ももに負荷をかけることで、骨盤の歪みを整えるエクササイズです。
まずはあおむけに寝た状態で、両脚を上げていきます。そして、脚の形がひし形になるようにヒザを左右に開きます。この体勢になると、内ももにかなり負荷がかかってきます。内ももと骨盤の中はつながっているそうで、骨盤の歪みの解消が期待できるといいます。
ボールをヒザに挟み、息を吐きながら脚を頭に近づけていきます。吸いながら脚を戻し、吐きながら頭に近づける。この繰り返しなのですが、これが想像以上にきつい! インナーマッスルへの刺激を感じることはもちろん、先ほどと違った動きをすることで、体もさらにほぐれてきました。
ボールありのエクササイズはまだまだ続きます。体育座りのような体勢で、両ヒザの間にボールを挟みます。手を内ももに添えるような形にし、背中を後ろに倒していきます。
この時も呼吸がポイント。吐きながら背中を起こし、吸いながら背中を後ろに倒します。丹田を意識し、おへその下に見えないボールを乗せるようなイメージで行なっていきました。とくに背中を倒した時、インナーマッスルに負荷がかかります。
ラストは、バランス力も重視されるポーズでエクササイズ。こちらはボールなしで行ないました。四つん這いの姿勢になり、コアから体を上下に引っ張り合うようにポーズを取っていきます。
まずは息を吸い、右脚をグーッと後ろに伸ばします。右脚を高く上に上げ、脚の付け根を伸ばし、お腹をピンと引っ張るようなイメージで行なっていきます。しっかりと伸ばしたら脚を戻し、反対も同様に行ないます。
慣れてきたら、今度は後ろに伸ばした脚と逆の腕を天井に向けて上げていきます。親指を天井に上げるような形で、手と脚でコアを引っ張り合うようなイメージで行ないました。
大量に汗をかくわけではありませんが、お腹の中がじんわり熱くなるような感覚がありました。いろいろな動きでインナーマッスルが刺激されたことで、翌日は腹筋が筋肉痛になったほどです。
自分は以前にヨガをやったことがありましたが、たしかにヨガと比べてトレーニングの要素が強いと感じました。負荷のレベルを上げていけば、競技レベルの立派なトレーニングになることは間違いありません。逆に今回自分が体験したように、負荷を調節することで、初心者でも気軽にチャレンジできるのも魅力だと言えるでしょう。
実際のレッスンを通して、ピラティスの魅力と効果を知ることができました。野口先生、ありがとうございました!
取材・文/森本雄大
写真/シュー・ハヤシ