山田賢児トレーナーに聞く、ランニング初心者向けのインタビューも今回が3回目。最後は、「ランニングのために摂取すべきもの」と「ランニングをするべき時間」について、どれくらい水分を摂ったほうがいいのか、いつ飲めばいいのか、あるいは朝は習慣化しやすいと言うけど……など、誰もが気になるであろう疑問に答えてもらいました。
水分は必ず摂るべし
――マラソン大会などでは、レース中に食べ物や飲み物を補給しているところを見かけますが、ランニング中に補給するものとして何かおすすめのものはありますか。
山田 とにかく水分を摂ること、これはおすすめというより、マストですね。基本的に水がおすすめです。
――やはり一番大事なのは水分だと。
山田 できれば、運動を始める前に摂っておくのがいいですね。運動中でもいいのですが、ランニングの時間はそれほど長くないですし、運動前に摂ることで熱中症の予防にもなり、疲労感も生まれにくくなります。アスリートに近い市民ランナーの方には、「大会がスタートする2時間前から、最低でも500mlのペットボトル1本は飲み終えてくださいね」と伝えています。体液の循環が正常に行なわれるように、きちんと水分を入れておく。本当はもっと飲んでもいいのですが、最低でもそれくらいは必要です。
――イメージとしては、家を出る前にスマートフォンの充電をしておくような感じですね。
山田 そういうことです。仕事をしながらも充電はできるけど、場合によっては充電しきれずに使うなど、多少の制限がありますよね。運動中に水分を摂ることも同じで、運動中に水を飲むならボトルを持っておく必要があります。運動前に水分を摂っておけば、その必要がないですよね。もちろん運動後は水分を摂ったほうがいいです。
ベストタイミングは「やろうと思った時」
――天気や季節、時間によって走る条件が変わると思います。ランニングにおすすめの時間帯などはありますか。
山田 もちろん理想はありますが、まずは始めることが大事です。というのも、ライフスタイルはみなさん違うので、やれる時にやるのが一番。「ここが理想」と思って「でもその時間は忙しいからできません」だと始めることができませんよね。気温や天候を気にされる方もいると思いますが、体が冷えないようにして運動するのは大事とはいえ、服を重ね着すれば解決できるし、逆に暑い時は薄着にして熱中症を防ぐこともできます。だから、深夜でも早朝でも昼間でも、その人ができる時間がベストです。
――ちなみに、ランニングマシンと外で走ることの違いはありますか。
山田 大きく違うのは、ベルトが動くか自分が動くか。ランニングマシンの場合は、ベルトが動くことによって、自分が動かないとマシンから落ちてしまいます。また、マシンに時計が出ているので、時間の管理がとてもしやすいですね。でも、効果に大きな違いがあるわけではないので、自分の好みでいいです。「ランニングマシンだとダメだ」という指導者もいるかと思いますが、僕自身はスポーツクラブで指導していて、ランニングマシンを中心に走っていても成績を伸ばした人もいるので、そこは気にしなくてもいいと思います。
――そこもやはり「まずは始めよう」ということですね。
山田 そうです。どちらが手っ取り早く始められそうか。自分の通っているジムがあれば、まずはそのジムの中で試してもらえればいいし、ジムに通っていないのであれば外で走ればいい。とにかく行動する以外に変わる方法はないので、まずはランニングを始めてみましょう。
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山田賢児(やまだ・けんじ)
千葉県出身。学生時代は陸上選手として活躍し、東京農業大学在学時に箱根駅伝に2回出場。その後3箇所のジムで指導を経験し、2021年に東京都、飯田橋に「Y personal training gym」をオープンさせた。ランナー経験を生かした有酸素運動指導のみならず、2014年の東京都北区フィジークでも入賞を飾るなど、ボディメイクにも取り組む。有酸素運動、ボディメイク、栄養指導の3つの側面から健康にアプローチする。
(所有資格)管理栄養士、フードスペシャリスト、加圧トレーニングインストラクター、加圧トレーニングサイクルインストラクター、日本ストレッチング協会ストレッチングトレーナーパートナー、日本ボディートレーナー協会整体師。
取材・文/シュー・ハヤシ