<解読編>
「レッグプレスとデッドリフトです。どちらもハム狙いです」
メイドジムのトレーナー、ろーずさんに「好きな種目はなんですか?」という質問をぶつけてみたら、こんな答えが返ってきた。レッグプレスもデッドリフトも、どちらかといえばキツい種目。こういった種目を好む女子は非常に珍しい。
しかも、「ハム狙い」ときたもんだ。この言葉を解読できる人はかなりのトレーニング通に違いない。「ハム」とは、食べ物のハムではなくて、大腿二頭筋短頭、半膜様筋、半腱様筋の総称である「ハムストリングス」のこと。わかりやすくいえば、太ももの裏の筋肉。つまり、「ハム狙い」とは「太ももの裏の筋肉に効かせる」という意味である。
「私はもともと体操をやっていたのですが、腰を痛めてしまい。マネジャーや審判など選手をサポートする側に回ったんです。また、すごく太っていて、いろんなダイエットを試していったなかで出会ったのが筋トレでした。そして、将来的に運動をする人をサポートする仕事に就きたいと思い、トレーナーの勉強を始めたんです」
一方で、メイドなどのオタク文化も大好きだったろーずさん。大学卒業後は某大手ジムでトレーナーとして活動。アキバ好きなクライアントさんを指導するときは、メイド服で対応していたという。
「そんなときに、このジムの存在をインターネットで知ったんです。『これは私がやるしかない』と思って、その日のうちにジムに連絡を入れました」
ろーずさんがコンタクトを取ったのは、まだジムそのものはオープンしておらず、クラウンドファウンディングで開設資金を募っていた時期。メイドジムの代表兼執事(!?)のせきぐちさんが当時を振り返る。
「私の知人にトレーニングが嫌いという人がいたんです。じゃあ、どんなジムなら行きたいですかと聞いてみたら、かわいい女性が指導してくれるなら行ってみたいと。ただ、それだけだと“夜”のイメージになってしまうので、『かわいらしいさ』の記号としてメイドさんがジムにいれくれればいいんじゃないかと。そこでこのコンセプトを思いつきました」
そこでクラウンドファウンディングで募集したところ、目標金額を大きく上回る資金を調達することに成功。発想からオープンまでは、わずか4カ月。「メイドさんがトレーニングを指導する」という摩訶不思議な空間は、こうして誕生したのだった。
「最初はプッシュアップなどの自重トレーニングから始めるのもいいかもしれませんが、初心者の方こそフリーウエイトを覚えていただきたい。マシン中心のトレーニングをやっている人がいきなりフリーウエイトをやっても、うまくはできないものです。ですが、フリーウエイトのトレーニングができる人は、マシンも絶対に扱えます」
なるほど! せきぐちさんが推進するのは、フリーウエイトと呼ばれるバーベルなどを使った基本的な種目。ベンチプレスやデッドリフトもフリーウエイトの一種。そういった種目に親しんでもらうためにパワーラックを2台も置いたんですな!
というわけで、ガチトレーニーのVITUP!編集長もトレーニングを体験してみました。
(つづく)
取材・文/藤本かずまさ 撮影/神田勲
<取材協力>
MAID GYM
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