毎年5月の第1火曜日は、「世界喘息デー」である。2017年5月2日(火)、フランスのスポーツ新聞« L’ÉQUIPE »のウェブ版に、ジュリアン・ジョヴァネラ記者執筆の「スポーツと喘息/スポーツとアレルギー:両立可能か不可能か?」という記事が掲載された。世界喘息デーの日に行われた、パリのアレルギー専門医、ソフィー・シルクレ=グリウー医師へのインタビューが、その内容である。
同医師は、「かつて、喘息患者はスポーツをすべきではないと言われていました」と述べた上で、「やるべきですが、それと同時に、方法の調整が必要です」と語る。インタビューで、喘息、花粉症、食物性アレルギー、蕁麻疹、環境汚染などに言及している。その内容の一部を、数回に分けて、抄訳を交えて紹介したい。ただし、花粉症については、特に日本人にとって真新しい情報がないため、次回以降も割愛する。今回は、喘息に関する部分である。
スポーツと喘息
「一つ、禁忌となるスポーツがあります。スキューバダイビングです。馬がアレルギーとなるような場合には、乗馬もいけません。喘息患者は、多くの場合、継続的な持久系のスポーツよりも、テニスやバスケットやサッカーのような、中断を挟むスポーツの方が、持ちこたえられたりします」
スキューバダイビングが禁忌というのは、疑問の余地がない。ボンベを使用しない、スキンダイビングを行う際も、注意が必要だろう。馬アレルギーに関する言及は、乗馬人口の多いフランスならではの事情であろう。日本人の場合、猫アレルギーなどが身近であろうか(特にスポーツに関係なさそうだが)。ともあれ、清掃などを入念に行うなど、埃っぽい環境や不衛生な場所でのスポーツは避けたい。また、サッカーが中断を挟む競技と言えるのかどうかには些か疑問があるが、マラソンなどと比較しての言及のようである。
「フィジカルのコンディションがよく、喘息の症状が発現しない選手がいますので、注意することが大切です。マラソン選手が、レース中に気分を悪くするのを、何度か見たことがあります。実際には喘息発作でした。それは、詰まっている自転車ポンプのようなものです。筋力が強いと、そのことに気付かず、カバーできてしまったりします。定期的にスポーツをしている(例えば、週3回走っている)人の場合、兆候が出るのが遅くなることがあります」
自転車のポンプという例え、理解しにくいような気もするが、力が強いと、気にせず空気を入れることができるということだろう。スポーツを行う際、何かのケガをしていると、他の動作でカバーするということは、よくある現象である。身体的な向上が、元々の症状の出現を抑え、深刻化するまで、隠してしまうということであろう。喘息に限らず、何らかの症状を持っていた場合、しばらく症状が出ていないからといって、自己判断で完治済みなどと過信することなく、注意を怠らないようにしたい。
(出典)
Julien GIOVANELLA «Sport et asthme / Sport et allergies: compatibles ou incompatibles ?»
L’ÉQUIPEウェブ版2017年5月2日20:00
https://www.lequipe.fr/Ilosport/Conseils/Actualites/Sport-et-allergies-merci-la-pluie/741668
文/木村卓二