髪と一緒に脂肪もカット！ 噂の「筋トレ美容室」に潜入

「トレーニングジムが併設されている、ちょっと変わった美容室がある」

そんな噂を聞いたのは昨年末のことだった。なぜ美容室にトレーニングジムがあるのか!?

まったく意味がわからない。ならば突撃してその謎を探るしかない、というわけでさっそく「筋トレ美容室」を直撃してみた。

「表参道」駅を出てゴールドジムを通りすぎ、静かな住宅街を歩くこと数分、噂の“筋トレ美容室”は突然現れた。その名は「UR CASTLE」。“CASTLE＝城”の名の通り、店構えはお城さながら。プレートアーマーが飾られている外観を見ただけでも、この美容室が普通ではないことがわかる。

外観だけで驚いてはいけない。お店に入ると、まず目に飛び込んできたのはパワーラックにハイプーリーマシンだった。入店してから目に入る範囲では美容室感ゼロ……。もちろん、ジムスペースを通り抜けると、立派な美容室なので一安心。しかしなぜ美容室にトレーニングジムなのか!?

「髪をトリートメントするのと一緒です。筋トレはボディメイクトリートメントだって思っているんです」

URの代表であり、カリスマ美容師としても名を馳せる川島悦実氏。現在は美容室でお客様のパーソナルトレーナーも務めている。もともとはダイエットのために始めたトレーニングが今ではライフワークとなり、美容室にジムスペースを作ってしまったというわけだ。パーソナルトレーニングの受付は木・土・日の３日間で、営業開始前の１時間と営業終了間際の１時間。お客様に「美」を提供するのが美容室だが、髪だけではなく体も一緒にキレイにすることができるのが、この「筋トレ美容室」なのだ。

「対お客様という部分で美容とトレーニングって通じる部分があると思うんです。お客様は美しくなりたいと思って髪を切りにくる。でも髪の毛は額縁で絵は骨格と肉付きなんです。今まではカットをお客様に提供する時に、骨格と肉付きに合わせてやるしかなかった。たとえば太っている人にボブを乗せたらこけしみたいになってしまうじゃないですか。でも骨格は変えられないですけど、トレーニングによって肉付きは変えられるので、以前は額縁しかいじることができなかったのが、今は絵にまで手が出せるようになっているんです。お客様に合った体と髪型を同時に提供することができるんです」

営業開始前の午前10時にパーソナルトレーニングがスタート。この日は２名が来店し、川島氏と同じくURスタッフのノブ夫氏の指導のもと、１時間みっちりトレーニングに励んだ。

「もはや美容室にくる感覚ではなくて体を動かしに来ている感じです。始めてから体重が５キロくらい落ちて体脂肪も20年ぶりくらいに十何パーセントになりました。もともと運動が嫌いなので一人ではできないんですけど、ここだから始められたし、続けられていると思います」と参加者のＫさん。URには10年以上カットで通っているというYさんも「いつもカットしてくれている川島さんが見てくれるから安心だし、励ましてくれるので続けられています」と語る。さらに「川島さんが太っている時も知っていて、それからどれだけ変わったかもわかっているので、私にもできるかなって思っています」と続けた。

女性の場合はトレーニングを始めたいけど、どうやっていいかわからない。あるいは一人でジムに行くには抵抗があるという人も多い。ここではその点の心配は無用。普段から通っている美容室だからこそ、始められるというお客さんも多いようだ。

「通常のカットが7000円なんですけど、『筋肉のカット割り』も7000円で受け付けています（笑）。ただ、お客様のパーソナルを引き受けるには条件があって、一つは週に１回以上必ず通える人。もう一つは家でできるトレーニングを教えるので、１日５～10分必ずできる人。それができない場合はお断りしています。今は13～14<人のトレーニングを見ています。営業の終わりの１時間は普通にこのジムスペースの前をお客様が行き来するので、『私もやってみたい』って声が必ず出ますね」（川島）

もちろんシャワー室もあり、トレーニングの後には美容室らしくシャンプーブローまでサービスしてくれる。普通のトレーニングジムにはないサービスもこの「筋トレ美容室」の魅力だ。

「筋トレって素晴らしいですよね。人間の三大欲求の一番上に筋肉欲ってあるんですよ。これに気づいたら人は変わるんですよね」と川島氏。

お客様をキレイにする。この考えは美容室をオープンした時から変わらない。トレーニングとヘアカットのセットで美しくなりたい人はぜひ「筋トレ美容室」へ！

取材・文／佐久間一彦

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