アライメントトレーニング② <つま先立ちメソッド>【目からウロコ!カラダ・ニューアングル】

視点を変え、発想を変えると体は目覚める!「なるほど、そうだったのか!」の、発見やセオリーを知れば一歩進んだトレーニングが見えてくる!
『つま先立ちで若返る!』(飯田潔 著/文響社)P74-75

つま先立ちで姿勢はどう変化するのか?

アライメントとは姿勢や動きを大きく左右する、人間の骨格の配列・並びのこと。アライメントを簡単に整える方法がトレーナー飯田潔氏の創案した「つま先立ちメソッド」だ。このメソッドを行うことで、その人にとっての「いい姿勢」を体で覚えることができる。

スポーツはもちろん、何をするにもアライメントが整っていれば楽なはずだが、体は長年の癖で慣れてしまった不良姿勢を正しいと思いこんでいることが多い。姿勢は自分では気が付かず、指摘してもらわないとなかなか分からない。

そこで編集部の新人、Nさんのアライメントを飯田氏に観てもらおう。
まずは現在の姿勢がどう評価されるか?

飯田氏は彼女の立ち方を見るなり、あっという間にいくつものアライメントの崩れを指摘した。

「かなり、スウェイバックの姿勢ですね。おへそが上を向いてハムストリングス(太もも後面にある筋肉群)の張りが強くなっています」

スウェイバック(Sway back)はボクシング用語で、上体を反らして相手のパンチをそらすディフェンステクニックから来ている。

以前は「疲労姿勢」とも呼ばれ、中年以降に目立った姿勢だったが、最近では若年層(特に女性)に見られるようになっている。疲れやすく、見た目にもはつらつとした感じがない印象を与えるので、実年齢より老けて見られることがある。

「骨盤が前に出て、後傾しています。また、走るとどうしても腰に痛みが出やすくなりますね。

腰から下を見てみると、股関節が内旋(太ももの前面が内側を向く)して内股になっています。でも膝から下は外旋している。骨盤と足をつないでいる筋肉の緊張も強い。こういうタイプは扁平足になりがちです」

他にも、短い時間で飯田氏からいくつもの指摘をされたNさんは「当てはまってますね……」と驚きながらもちょっと苦笑い。

飯田氏がたとえばランナーを指導する時、ランニングマシンなどで走ってもらい、そのフォームを撮影。動画や分解写真を一緒に見ながらカウンセリングするなどの手法をとっているそうだ。

実際につま先立ちをして、アライメントを整えていこう。

飯田氏はまず、シューズの紐もしっかり締めていく。
紐の締め方が甘いとシューズ本来の機能を活かせなくなる。

次に股関節の位置をチェック。多くの人が思っているより体の内側にあり、股関節の位置がイメージできるだけでも、脚の動きが良くなる。

立ち方としては、「かかと・人差し指・中指がだいたい一直線上に正面を向いて腰幅で立つ」が基本。そこからかかとをゆっくりと上げていき、シューズの前3分の1くらいに体重をかける感じにする。

接地しているつま先を意識して、体を低くしていく。足首・膝・股関節が、すべて90度になるくらいまで曲げる。
“全体重がつま先にのっている”とイメージすると、グラグラしないで立てる。

そして90度の所まで下がったら、足裏をしっかりと地面を押しながら自分の体を高いポジションまで上げていく。

足首・膝・股関節の3つの関節を同時に動かしながら、すべてをまっすぐ伸ばしきるようなイメージを持って立つ。

その状態からかかとをそっと下ろす。

このような指導を受けて、何度か丁寧につま先立ちを行ってみた後の姿勢がこの通り。

傾いていた体の軸がかなり真っ直ぐになり、横から見るとスウェイバックではなくなってスッキリとしている。また、重心が下がり、軽快に動けそうな印象になった。

「普通に立っていても安定感があります」
とは、Nさんの実感だ。

つま先立ちの他にも、「踏み台昇降」もシンブルで効果のある姿勢トレーニングだという。
これも、アライメントの整列があってこそ。
つまり、日常的な動きも、正しいアライメントを意識することで立派なトレーニングになるということだ。

では、さらにアライメントを整えるため、また固まりすぎたり、ゆるみすぎたりしている筋肉を適正にするための方法を見ていこう。
(つづく)

飯田潔(いいだ・きよし)
1969年、東京都出身。「フットトレーナーズ」代表取締役。元日本オリンヒック委員強化コーチングスタッフ。元全日本スキーチーム・テクニカルスタッフ。カラダの動きを考えたシューズ選びやインソール作り、アライメントトレーニングなどでプロアスリートから一般の方までをサポートしている。著書に「つま先立ちで若返る!」(文響社)など。
(株)フットトレーナーズ

取材&文/押切伸一