吉田篤の「高密度BODY」レッスン②身体の動きと目線を使って、エネルギーを巡らせ、「内部圧縮」させる!

気の巡りで健康効果を高める気功や太極拳と同じく、筋肉トレーニングも然るべき動きをすると、やる気が高まり、その効果がアップします。身体教育メソッド「アレクサンダー・テクニーク」をベースにした吉田篤さんの「高密度BODY」の実践法を紹介します。

「動きの方向性」を工夫すれば、トレーニング効果はより高まる!

「高密度BODY」のベースであるアレクサンダー・テクニークのメソッドでは、創始者のF.M.アレクサンダー氏が、首の緊張により不調に陥ったことから、首と胴体の関係性を重視しています。そのため、一般的なアレクサンダー・テクニークでは首からワークを始めることが多いですが、吉田さんの場合は臨床的な経験を元に、「骨盤」「丹田」に働きかけていきます。
では最初に、エネルギーの流れを良くする簡単なワークを紹介します。「コインの表」のワーク、「コインの裏」のワークです。

1、「コインの表」のワーク

① 肩を足幅に開きます。

② 軽く爪先立ちになり、目線は天井に向けます。

③ 両手をふわっと開いて、外回りでゆっくり動かします。

④ 反った胸から、エネルギーが噴火するようなイメージをします(動きの方向性を示す)

⑤ 口を開いて「ハ」の形にして、「ハー」と息を吐きながら、背中をそらします。このとき、視線は前方に向けます。

⑥ 静かにかかとを落とします。(ニュートラルな状態に戻る)

 

2、「コインの裏」のワーク
① 肩を足幅に開きます。

②  軽く爪先立ちになり、目線は前方に向けます。

③ 背中の裏側からエネルギーが噴火するイメージをします(動きの方向性を示す)。

④  口の形を「ア」にして、顎関節を開き、「アー」と息を吸いながら、両ひじを内側に回転させる。

表/裏のワークを交互に行う。5〜6回繰り返す。

「このワークは、脊椎24個の配列の幅を平均化する効果があります」と吉田さん。ちなみに、ヨガの「猫のポーズ」と感じが似ていますが、別物です。

次に、エネルギーを内部圧縮する簡単なワークを紹介します。椅子を使った「活力アップの脚ワーク」です。

 

3、椅子を使った「活力アップの脚ワーク」

① 椅子に片足を乗せます。

② 身体を安定させるために、壁や柱などに片手を添えます。

③ 爪先立ちになり、片足で椅子の上に上げ、屈曲運動を行います。写真ではこちらを向いていますが、このとき目線は前方に向けます。

吉田さんによると、このワークは、屈曲運動をするときの「膝の方向性」が重要だそう。
「ワーク時の身体の動きを少し観察したとき、椅子に乗せた足を曲げるとき、膝はどちらの方向を向いていますか? 多くの人は、膝を『前』に出しているかもしれません。しかし、これはNGパターンです」(吉田さん)

「今度は、椅子の上に乗せた足の膝を『後ろ』の方向に動かしてみましょう。何回か、やってみてください」(吉田さん)

膝を「後ろ」に方向づけると、腹部が温かくなり、エネルギーが集まるのが感じられます。それはなぜなのでしょうか?
「膝を後ろに方向づけると、動き全体で『エネルギーのめぐりが良い方向性』へと向かわせることができるからです。膝の向きが『前』の場合は、エネルギーが下側に向き、結果として、エネルギーの流れが詰まるような感じがありますが、膝の向きを『後ろ』にしてあげると、エネルギーが腹部を通って上昇するような流れになります」(吉田さん)

ちなみに、「エネルギーの方向性」というのは、気を巡らせるメソッドーー太極拳や気功、各種ヨガで、理論がそれぞれ異なります。たとえばクンダリーニヨガであれば、「骨盤底からエネルギーを上昇させて頭までめぐらせる」という理屈です。アレクサンダー・テクニークと高密度BODYもそれと同様、上に向かう方向性です。

「ただし、エネルギーが上に向かわせるときには、まず『丹田』にエネルギーを集めることが重要です。ここにエネルギーがないと、地に足がつかず、フワフワとして、幽霊のようなエネルギー状態になってしまうからです。私が骨盤、丹田からまず働きかけるのはそれが理由です。この椅子のワークは丹田にエネルギーを集める作用があるので、数回繰り返して行うと、丹田から背中へとエネルギーが広がり、上に上がっていきます」と、グラウンディングの重要性を吉田さんは強調します。

また、膝で方向性を出すだけでなく、「目線」を使って方向性を出すことも重要です。目が下に行くと、エネルギーが下に行き、目を上に上げれば、上に行きます。「うつの人は姿勢が悪いことが多い」と言われるように、目の動きが、身体全体の方向性を決定づけるのです。
「もちろん、むやみやたらに目線をいつも上に上げていれば良いという訳ではありません。天井向いて、歩いている人はいませんよね(笑)。目が前に向いている状態がニュートラルです」(吉田さん)

そして動きによっては、目が下に行っているほうが、エネルギーがニュートラルになる場合もあります。

(3へつづく)

 

取材・文/三島衣子

写真/安多香子

吉田篤(よしだ・あつし)
東京・門前仲町「Brain Free」代表。英国にて、「ボーエン テクニック」「アレクサンダー・テクニーク」「クラニオセイクラルセラピー」を習得。それらをベースにした独自の身体教育メソッドを多数開発。著書に、『頭蓋骨をユルめる!』『首からユルめる!』、監修DVDに『クラニオセイクラル・セラピー入門』『アレキサンダーテクニック』(いずれもBABジャパン刊)。