トレーニングは心も若返らせる【髙田一也のマッスルラウンジ 第4回】

タレントや会社経営者など多くのクライアントを指導してきたパーソナルトレーナー、髙田一也が「仕事」と「トレーニング」、「社会」と「トレーニング」の正しい関係性を探るこの連載。今回は新人トレーナーの頃の経験談。

 

見せかけだけのアンチエイジングではない

僕がまだ新人トレーナーだったころの話です。脚が悪く歩くのも困難な、70歳の男性の方を指導したことがありました。キャリアの浅い新人にとって、ご高齢の方の指導はかなりの重責です。もしケガをさせてしまったら、もしトレーニング中に体調が悪くなったら……。最初やはり、戸惑いと怖さを感じました。

でも、これからトレーナーという仕事を続けていく上で、「もっとキャリアのあるトレーナーさんに頼んだほうがいいんじゃないですか」と断るのも、何か違う気がしました。

だったら、責任を持って指導させていただこうと。絶対に元気な体を手に入れていただきたいし、トレーニングはいいものだという認識を持っていただきたい。少しでもトレーニングに対してマイナスなイメージを与えてしまったら、そこで終わりです。人工関節をつけている人のリハビリ方法など、いろんなことを学びなおして、指導に備えるようにしました。

そのクライアントさんは会社を経営されていて、講演会などにも招かれる立場にありました。講演会に呼ばれて壇上に立つときに、ヨボヨボした歩き方をしていると、話の説得力が薄れてしまう。しっかりとした足取りで階段を上がって、しっかりとした口調で話したいというのが最初の目標でした。

トレーニングを継続した結果、その方は普通に歩けるようになり、それどころかレッグプレス100㎏を6回もできるようになりました。中学生のお孫さんがいらっしゃったのですが、「孫に腕相撲で勝てるようになりました」と嬉しそうに話されていました。僕が「お孫さんが成人するまで勝ち続けましょう」と言うと、より一層高いモチベーションでトレーニングに取り組まれるようになりました。

トレーニングは、キャリアを積み重ねてきた人の価値観まで変えてしまう。見せかけだけのアンチエイジングではないんです。心も若返られることができるんです。僕はその経験を通して、人生においてトレーニングがいかに大きな意味を持っているのか実感できました。

高田一也(たかだ・かずや)
1970年、東京都出身。新宿御苑のパーソナルトレーニングジム「TREGIS(トレジス)」代表。華奢な体を改善するため、1995年よりウエイトトレーニングを開始。2003年からはパーソナルトレーナーとしての活動をスタートさせ、同時にボディビル大会にも出場。3度の優勝を果たす。09年以降はパーソナルトレーナーとしての活動に専念し、11年に「TREGIS」を設立。自らのカラダを磨き上げてきた経験とノウハウを活かし、これまでに多数のタレントやモデル、ダンサー、医師、薬剤師、格闘家、エアロインストラクター、会社経営者など1000名超を指導。その確かな指導法は雑誌やテレビなどのメディアにも取り上げられる。
TREGIS 公式HP