体が変わって、心が変わって、その先にあるもの【髙田一也のマッスルラウンジ 第5回】

タレントや会社経営者など多くのクライアントを指導してきたパーソナルトレーナー、髙田一也が「仕事」と「トレーニング」、「社会」と「トレーニング」の正しい関係性を探るこの連載。今回は新人トレーナーの頃の経験談。

 

若い世代のお手本にならないといけない

僕は40代後半という年齢に差し掛かりました。同世代、そして僕らよりも上の世代の人たちは、「ゆとり世代」の人たちを指して「今の若い人たちは…」という言葉を口にしがちです。

僕は、ゆとり世代と人たちがダメだとは思っていません。自分が「今の若い人たちは…」という言葉を口にする年齢になって改めて思うのは、悪いのはゆとり世代の人たちではなく、その世代の人たちに悪いお手本を見せてしまった自分たちなんじゃないかということです。

よく「体が変わると人生が変わる」と言われます。確かに、僕もそう思っていた時期はありました。体が変わることで、人生のある部分は変化したと思います。でも、よくよく考えてみたら、何も変わっていない部分もありました。

「トレーニング」は僕の人生にすごくいい影響を与えてくれました。健康的な体を手に入れることができました。友だちもたくさんできました。トレーニングを行うことで、僕はすごく大きなプラスを得られました

体が変わって、心が変わって、人生が変わった。かつての僕は、そう信じ切っていました。ですが、冷静な視点で振り返ってみると、実際はそこまで変わってはいないんじゃなかと。トレーニングで得たプラスをさらに大きなプラスへと昇華させるには、どういったことをやっていけばいいのか。そこを考えていませんでした。先のことをあまり考えていなかったのです。

体が変わった、その先にあるもの。僕はそれは「仕事」だと思っています。トレーニングで得たものを、どれだけ仕事に生かしていくか。体が変わっただけで喜んでいると、将来、後悔することになるかもしれない。そうならないためにも、今のうちからしっかりと次のことを考えておくべき。そういったことを伝えていくのもトレーナーの役目だと思います。

トレーナーは他者の人生に影響を与える仕事です。だから、いい加減なことはできないです。第三者の手本となる仕事なので、自分をレベルアップさせるために、つねに次のことを考えておく必要があります。考えることをやめると、人間的な成長がそこで止まってしまいます。

40代といえば、社会的にも活躍ができる年代です。ですが、40歳をすぎたら生活習慣病の一つが見つかるのは当たり前。逆に、トレーニングをしっかりと行って、食事を管理している人たちのほうが「普通ではない」と思われています。

たかが40代、分別もある大人が、働き盛りの時期に体力がついてこないというのは問題です。本来、我々の世代は、若い世代の人たちのお手本にならなければいけません。

ですが、お手本があまりにもだらしなさすぎる。自分たちのことを棚に上げて、「今の若い人たちは…」とゆとり世代に責任転嫁をするのは間違っていると思います。僕も強く反省しています。我々の世代はしっかりと体のメンテナンスをして、その上で仕事をこなし、そういった姿を若い世代の人たちに見せていくべきだと思います。

高田一也(たかだ・かずや)
1970年、東京都出身。新宿御苑のパーソナルトレーニングジム「TREGIS(トレジス)」代表。華奢な体を改善するため、1995年よりウエイトトレーニングを開始。2003年からはパーソナルトレーナーとしての活動をスタートさせ、同時にボディビル大会にも出場。3度の優勝を果たす。09年以降はパーソナルトレーナーとしての活動に専念し、11年に「TREGIS」を設立。自らのカラダを磨き上げてきた経験とノウハウを活かし、これまでに多数のタレントやモデル、ダンサー、医師、薬剤師、格闘家、エアロインストラクター、会社経営者など1000名超を指導。その確かな指導法は雑誌やテレビなどのメディアにも取り上げられる。
TREGIS 公式HP