A.機能的な動きをするための準備運動のことです。
これはスポーツの現場などで使われる言葉です。「ムービングプレパレーション」と言われるとなんだか難しそうな動作のように聞こえますが、ごくごく簡単な言葉に置き換えれば「準備運動」です。パフォーマンスを向上させるためには、まずは「機能的な動作」を獲得していく必要があります。その「機能的な動き」を実現するための準備がムービングプレパレーション。筋肉の動的伸長、相反性神経支配(主働筋が収縮する際に拮抗筋を弛緩させる命令が出されるというような、互いに拮抗しあう筋の活動を抑制するメカニズム)により、身体動作を正しく機能させるプログラムですね。
筋の活性化、神経系の活性化、脳と神経のコネクション、動作そのもののスキルを上げる動き。こういったことを準備段階で行うことで、実際のフィールドの上などで、やりたい動作ができるようになっていきます。順番としては、筋膜リリース→スタティックストレッチ→アクティブストレッチ→バリスティックストレッチという順で行います。ようするに、準備運動における一つのルールですね。得られる効果としては体温の上昇、アクティブな筋線維の伸長、筋線維の固有受容器の活性化、スタビライザーの活性化、精神的な準備、などが挙げられます。
「ムービングプレパレーション」という難しい言葉がつけられていますが、スポーツ選手は自然と取り入れているものだと思います。ただ、「練習前になんとなく行っている」といった感じでルーティン化してしまってはダメです。例えばアクティブストレッチの際には、主動筋だけでなく拮抗筋にも意識がいっているかどうか。なぜこのような準備運動が必要なのか、しっかりと目的意識を持って取り組むことが大事です。
1960年、大阪府出身。 特定非営利活動法人日本ストレッチング協会理事長。日本体育協会認定アスレティックトレーナー。 帝京大学講師。早稲田大学教育学部卒業、順天堂大学大学院体力学専攻修了。 2001年「すとれっち塾戸田公園店」開設。専門分野はアスレティックトレーニング、スポーツ科学、アスレティックリハビリテーション。リコーラグビー部など、多数の社会人・大学チームのストレングスコーチ、および日本代表ボートチームのフィジカルサポートなどを務める。「ストレッチまるわかり大事典」(ベースボール・マガジン社)「アクティブBODYストレッチ」(日東書院)など著書多数。
日本ストレッチング協会HP