たった4つの股関節体操~真向法




真向法って何?①

さまざまな病気は血液の循環の悪さから始まるといわれている。つまり、理想的な健康状態というのは、サラサラな血液が体中の細胞にゆきわたっていくこと。血液を体にめぐらせるのは心臓だが、もう一つ忘れてはならないのが下肢(臀部、脚部)の力だ。下肢は筋肉量が多く、動かすことによって血液の循環がよくなっていく。「第二の心臓」と呼ばれるゆえんだ。

「真向法体操」は、下肢の運動で体のゆがみを矯正し、さらに股関節を柔軟にすることによって血液の循環をよくしていく体操である。

第三体操(両脚を開き、上体を前に倒していく)実践しているところ

股関節は、自転車にたとえるとギアのようなものだ。古い油が溜まって固まると、ギアは回らなくなってしまう。股関節が硬くなるというのは、これと同じ状態だと思ってもらっていいだろう。足が軽やかに上がらず歩行困難になって、バランスも悪く、その結果、膝に負担がかかって関節を変形させることにもなりかねない。

股関節周りには、足に血液を運ぶ太い血管やリンパ節が密集している。この周辺の筋肉がこわばると血流が悪くなり、老廃物が溜まっていく。すると、体じゅうに栄養や酸素を送る血液の役目が阻害されたり、体に侵入してきた細菌と戦うリンパ液の機能も低下してしまったりするわけだ。

リンパ機能の低下に伴って免疫力が低下すると、さまざまな病気を引き起こす原因となる。ゆえに股関節を柔軟にして血液循環の力を高めていけば、自然治癒力を高めていくことになるのだ。
「真向法」は、たった4つの動作で股関節を健康に、滑らかにできる体操で、日本の高度成長期(1960年代)には国民的な健康体操として大いにもてはやされた。日本経済を大きく成長させた企業戦士たちは、多忙ゆえに健康管理がおろそかになり、それを補うために、シンプルで取り組みやすい真向法が会社を挙げて指導されたのだ。

かつて、働き盛りといえば40代、50代だったが、現在は不景気や年金の問題など社会的背景もあり、60代や70代でもバリバリ働かなければならなくなってきた。

人間の体の機能はそうそう変わるものではない。年齢が高くなればなるほど痛いところが増え、粘りが利かなくなり、いうことをきかなくなってくる。しかし、股関節周りを柔軟にしていけば骨盤、背骨の矯正につながり、さまざまな病気の防波堤にもなるはずだ。もちろん、アンチエイジングにも有効だ。

以下に真向法の4つの動作を記そう。
・第一体操……お尻を床に着けて座し、両足裏を合わせて(足の裏は自然に天井に向いたまま)上体を前に倒していく。
・第二体操……尻を床に着け、脚を伸ばして上体を前に倒していく。
・第三体操……両脚を開き、上体を前に倒していく。
・第四体操……少し難しいが、座して上体を後ろに倒していく。

この4つの動作をすることによって正しい姿勢を取り戻すことができ、股関節が柔軟になって自然治癒力もアップするのだ。次回は一つひとつの動作を詳しく解説。お楽しみに。

(文/安田拡了)

参考資料…「股関節のチカラ」(筆者編集企画・ベースボールマガジン社発行)

 

『股関節のチカラ 真向法でからだ革命』(ベースボール・マガジン社・現在品切れ中)