脚裏の柔軟性を高め老化を防ぐ
では第二体操を説明しよう。
◆第二体操
股関節体操の真向法第二体操は股関節を滑らかにする目的のほかに、東洋医学の視点からみても魅力的な体操で、なんと第二腰椎と第三腰椎の間にある「命門」というツボを刺激するのだ。「命門」という名前から察することができるが、これは生命力の門。このツボが刺激されると副腎が活発になり、体力が増強して生命力が強くなっていくとされている。
画像1のように両足を伸ばして座り、背筋をピンと立てる(横から見るとL字形)。この状態から背筋を曲げずに上体を前傾し、そして再び起こしてL字形に戻すという体操だ。たとえば跳躍したり、走ったりするときに必要な筋肉は脚の裏側にある大殿筋、大腿二頭筋、腓腹筋、ひらめ筋。そしてアキレス腱だが、これらの筋肉を伸ばす。
特に中高年になるとアキレス腱が萎縮していて、断裂しやすい。アキレス腱はコラーゲン繊維からできていて、いわゆる老化とともにゴルフやボーリングなど軽いスポーツをやっても炎症を起こしやすくなる。炎症によってアキレス腱にキズができた状態になり、ちょっとしたはずみで断裂状態になってしまうのだ。
つまり、第二体操は脚裏の筋肉、アキレス腱の柔軟性を高めていくことによって老化を防ぐ効果がある。
さて、よく前傾する時に上体を倒したいばかりに肩に力が入る人がいるが、リラックスして脱力して息を吐きながら、両手は前傾していく時に両足の外側を滑らせるようにすることが大切だ。
また、伸ばした両足がくっついていること。そして、つま先を上に立たせた状態で股関節を支点にして前傾すること。裏側の筋肉を伸ばすことが目的なので、伸ばした両足の膝を曲げないようにする(前傾した状態は画像2)。前傾した時、両手は両足の裏を掴むようにする。屈伸の回数は目安として10回である。
中高年になると下肢の手入れを怠っている人が多いため、どうしても下肢の裏側の筋肉は萎縮してしまっていて、伸ばすと痛いため、上体を倒すときに床に密着した膝が上がってしまうし、頭だけ倒して猫背になってしまいやすいので注意したい。
うまく前傾できなくても、ちゃんとつま先を立てて膝を曲げないようにして股関節を支点に腹、胸の順番で倒していくことが重要だ。
前出したように息を「ふ~」と吐きながら、ゆっくりと前傾するが、起き上がる時に鼻から息を吸うようにする。
中高年になると当然ながら最初からできる人は、まずいない。画像3のように片足を伸ばして膝が曲がらないように押さえ、またつま先も立たせるように手で支えながら上体を倒していく。これを左右やってから、筋肉、アキレス腱をゆっくりと柔らかくしていき、そのあとで第二体操を行なうのもいい。
次回は第三体操について説明する。
(この項続く)
取材・文/安田拡了
参考資料…『股関節のチカラ 真向法でからだ革命』(ベースボール・マガジン社・現在品切れ中)