真田広之さんのアクションに魅せられて【石田武インタビュー①】




バク転、トンボ返り、まるで重力が存在しないかのように空中で華麗な姿を見せるのがアクション俳優だ。石田武氏は、「アクションアクター」として活動するだけでなく、お笑いユニットでの活動や劇団代表としての顔も持つ。最近ではアクション指導や演出の依頼も多く、その高い身体能力は、業界関係者にはすでに広く知られている。現在の活躍の裏には、どのような身体作りの意識があるのか。それをうかがってみた。(全3回)

劇場でJACのアクションに魅了される

――なぜアクションの世界に?

最初にアクションというものを知ったのはブルース・リーの映画です。彼が出演している映画を観て、アクションスターとしてのブルース・リー憧れました。そして僕にとってセンセーショナルというか、ショックだったのは、僕がブルース・リーに憧れたときには、既に彼はこの世にはいなかったということ。最も憧れる人がもうこの世にはいない。その事実が自分にとってはミステリアスでしたね。彼からは非常に強く影響を受けました。

でも,
実は自分の中ではブルース・リーのブームは一度去りました。日本のアクションに興味が移ったからです。というのも、この時期にはちょうど香港映画が流行ってきてたんですが、最初は『Mr.Boo!!』というマイケル・ホイ主演のギャグ映画から、やがて満を持してジャッキー・チェンが出てくるわけです。

ジャッキー・チェンは『蛇拳』や『酔拳』などの映画で有名ですが、この時期、彼の映画は、東映が配給会社だったということもあって日本の映画と同時上映されていました。その同時上映されていたのが『忍者武芸帖 百地三太夫』という、真田広之さん主演の映画があったんです。僕はこちらを観てビックリしたんですね。

後から真田広之さんの師匠が千葉真一さんであることを知りました。千葉さんや志穂美悦子さんはブルース・リーが作った空手やカンフー映画ブームの中で、倉田アクションクラブの倉田保昭さんなどとともに活躍されていたんです。千葉さんが作ったジャパンアクションクラブ(以下・JAC)のメンバーや千葉さんの下で育った真田広之さんが出演されていたのが『忍者武芸帖』だったわけです。この映画は真田広之さんが10代の頃に出演した作品。脇役はみんなJACのメンバーでした。だからジャッキー映画を楽しみに観に行ったら『忍者武芸帖』に魅了されて帰ってきた。僕がアクションへと進むこととなった原点がここにあります。

――JACへはどうやって入ったのですか?

僕が入ったときには、養成所ができたばっかりだったんですね。僕は15期として入ったんですが、14期から養成システムが出来てたんです。同時期のスターで言えば13期ではJACはお辞めになりましたが伊原剛志さんがいまして、14期には堤真一さんがいました。そして14期の先輩に「JACブラザース」というJACのアイドルグループがあって、砂川真吾さんという方がいたんですね。彼は大林宣彦監督の『さびしんぼう』という映画に主演しています。

僕と砂川さんはたまたま同じ高校の同学年だったんです。このとき京都にJACの養成所があるのを知ったんですね。でもこのときは、アクションの世界はまだ漠然とした単なる憧れでしかなかったんですが、砂川さんとの共通の友人から「石田くんの身体能力なら絶対JACに受かるから行ってみれば?」と言われて、JACのオーディションを受けたんです。そしたら合格して、単なる憧れだったアクションというものが急に近付いてきた。

――JACに入ってからはどのようなトレーニングをされていましたか?

当時の僕は50kgに満たないくらいしか体重がなかった。JACと言えば戦隊とかライダーとかの特撮モノのスーツアクターも担当してましたが、僕もその特撮モノの撮影現場に行ってました。そうすると怖い先輩がいて、さらに同年代や下の年代を含めみんな切磋琢磨しながら活躍していたんです。

そのときに僕も仮面ライダーシリーズでいえば敵組織の手下役を「キイキイキイ!」とやらせてもらったんですが、まだまだ身体が細かった。そのときもトレーニングを重ね、努力はしたんですが、なかなか身体が大きくならなくて、先輩から言われたのは、そのままずっとその身体能力でその体重をキープしておけば女形のスーツアクターになれると言われたんです(笑)。実は女性の戦隊レンジャーも中身は男性が演じている事が多いんですよ。当時はトレーニングして体重が増えても55kgくらいにしかならなかったので、この辺りにはとても苦労しました。
(この項続く)

取材・文/立華徳之真

石田 武(いしだ・たけし)
俳優、アクション指導者、劇団EASTONES座長。幼少よりアクションスターに憧れ、学生時代に、その高い身体能力からジャパンアクションクラブに入団。数々のテレビや映画に出演。特に特撮ドラマや時代劇、日光江戸村などでの華麗なパフォーマンスから人気と実力を合わせ持つ俳優として活躍。現在は、お笑い時代劇ユニット「カンカラ」の活動と並行し、映画「ドラえもん」の脚本家である清水東氏と創設した『劇団EASTONES』の座長として、演出・殺陣指導にも力を発揮している。只今、秋の次回作公演に向けて鋭意準備中。
劇団EASTONESのHP

インタビュアー
立華徳之真(たちばな・のりのしん)
パフォーマー兼パフォーマー専門の美容家・治療家・スポーツ指導者。陸上競技・体操・バスケットボール・フィットネス・トレーニング・ジュニアスポーツ・体育施設運営管理・サプリメント・スポーツボランティアなどの専門資格を所持。また柔道整復師・美容師・登録販売者・診療情報管理士として美容・健康・医学領域および出版・映像・イベント・教育・ITなどの実務をこなす。ほか殺陣やアクション、神経系コーディネーションや能力開発などの分野で活動しているハイブリッド。
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