ランニングの効能とは!?【金哲彦の教える“正しい走り方”②】




フィットネスに親しんでいる人や、過去に部活などで運動をしていたことのある人のほとんどが“自分は走れる”と考えているのではないでしょうか? でも、プロのコーチから見ると、多くの市民ランナーは“正しく走れていない”ようです。そこで、市民ランナーからオリンピックを走るアスリートまで、幅広いランナーを指導するプロランニングコーチの金哲彦さんに“正しい走り方”についてレクチャーしてもらいます。

ダイエットやアンチエイジングに有効

走ることにはポジティブな効果が多くあります。まず、ダイレクトに脂肪を燃やす有酸素運動ですからダイエットにはとても有効です。習慣化すれば代謝のいい太りにくい体にもなりますから、ランニングが習慣になっている人は、太るという心配がほぼなくなると言ってもいいかもしれません。私も50代になりましたが、太るかもしれないという心配はしたことがありません。筋トレはまったくしていませんが、今でもシックスパックですよ(笑)。

ダイエット以外にも、血管が収縮を繰り返すので血流もよくなりますし、血管も柔軟になります。歳を取ると血管は硬化してくると言われますが、その対策には最適だと思います。また、着地の細かい衝撃が骨に伝わるので、骨粗鬆症や骨密度低下の予防にも効果的です。

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メンタル面でもポジティブな効果はあります。“ランニング・ハイ”という言葉をご存知の人もいると思いますが、走るという運動は「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌を促す効果が高いのです。リズミカルに抗重力筋に刺激が加わる運動をすると、セロトニンは分泌されると言われますが、ランニングはまさにその運動に当たります。

もちろん、ランニングのデメリットと言いますか、走ることによって引き起こされるネガティブな効果もあります。まず、負荷が高い運動であるため、心臓などに負担がかかります。循環器に不安を抱えている人は、ランニングを始める前に医師などに相談しておきましょう。

また、間違ったフォームやシューズで走るとヒザなどの関節を痛めることもあります。ランニングを始めたものの、1回目からヒザを痛めてしまって……という話も聞きます。ただ、こうしたヒザの痛みなどは正しいやり方、フォームやペース、シューズなどで行えば防げるものです。こうしたトラブルを防ぎ、ランニングのメリットを享受するためにも正しい走り方を身につけるようにしましょう。


金哲彦(きん・てつひこ)
プロランニングコーチ、駅伝・マラソン、陸上競技解説者、ランナー。福岡県北九州市門司区出身。早稲田大学教育学部卒業。在学中競走部に属し、中村清監督の下、箱根駅伝で活躍。卒業後はリクルートに入社し、陸上競技部を創設。1987年には別府大分毎日マラソンで3位に入る。1995年より同部監督に就任。同部の消滅後は、陸上のクラブチーム・ニッポンランナーズを創設する。現在は、テレビのマラソン・駅伝中継の解説も務める。
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