「必ず速くなる」走り方は「背中で走る」
今は、2009年から引退する2013年までプレーしたガイナーレ鳥取で、2014年からGMの仕事をしています。それと同時に親子一緒に走る駆けっこのプロジェクトにも取り組んでいます。きっかけは娘が小学校の運動会の駆けっこで最下位になってしまったので、翌年の運動会前日に10分ほど走り方を教えたらブッチギリの1位になったことから。「じゃあ、やってみましょう」ということで募集をかけたら1,000人以上の募集があったんです。
最初に親子で50メートルを計るとみんな遅いのですが、「上半身で走るんだよ」と言って指導すると最後の測定では1秒~2秒速くなる。フォームもすごくきれいになります。
ポイントは脚で走るのではなく「背中で走る」。腕も前で振るのではなく、「後ろ」を意識すると逆に脚が前に出るようになります。音で言うと腕が横降りで「バダバタバタ」ではなく「ポン、ポン、ポン」という感じになります。
これは現役時代、特に外国人選手に対して相手より先にボールを触るために編み出した動きです。フランスW杯ではクロアチアの選手と当たりましたけど、まるで壁です。押してもびくともしない。そこでどう抜くか? そこで考えたのが「後ろしか使わない」。アフリカ系の選手とかはお尻と背中に筋肉が付いていますよね? そこを追究していきました。
腕を振ることで脚が勝手に出る。その原理を覚えて頂ければ6割以上は1秒から2秒は速くなると思います。
普段は監督が目指すサッカーを実現するために、どうやって資金を確保していくかを考えて走り回っていますが、ここでも高校時代が活きる場面がありました。
松江日大時代のチームメイトは卒業時に、将来どうなるかと思っていたのですが、みんな自分で道を切り拓いて多くが社長になっていた。そこで「岡野がGMになるなら、スポンサーになるよ!」と言ってもらったんです。みんな「走る」ことで道を切り拓くことができた。こういった縁を大事にして、これからも走っていきたいです。
取材・構成/寺下友徳