遊び感覚で筋力アップ! カザフで見かけた驚きの遊具




遊びながら体を鍛えるカザフの秘密兵器

こんにちは、臨時特派員・編集Iです。
他の記事でも書いたように、6月下旬から7月上旬にかけてカザフスタン共和国に出張してきました。

カザフスタンは中央アジアとヨーロッパにまたがる国ですが、1991年に独立するまではソビエト連邦の構成国の一つでした。現在もロシアと国境を接していて、モスクワからの空路は国際線ではなく国内線扱いになっています。
「未来都市」とも呼ばれる美しい首都アスタナは、日本の建築家である故・黒川紀章氏が基本設計を手掛けたことでも知られています。

そんなアスタナの街の一角で見つけたのが、今回紹介する特殊なマシンです。
それらはホテルやマンションに見下ろされる公園の中にありました。ブランコや滑り台といった日本でも見かける遊具の中に、ごく自然に溶けこんでいました

カザフの首都アスタナにある公園

このマシン、非常によくできていて、なんと、すべて自重を使ってトレーニングができるようになっています。バーを引くと、自分の体が持ち上がるのです。

ざっと紹介すると、次のようなものです(最後に動画もあります)。

②(①-②:ロウイング。上に引き上げる動作。引っ張ることで椅子の部分が上に上がっていきます)
④(③-④:ディップス。下に押し下げる動作)
⑥(⑤-⑥:ロウイング。前から引き寄せる動作)
⑧(⑦-⑧:チンニング。懸垂動作)
⑩(⑨-⑩:レッグプレス。脚で押す動作)

さらに他にも、内転筋や背筋を鍛える器具、ウォーキング器具などがありました。

⑬(⑪-⑬:他にも体を鍛えられそうな器具がたくさん)

ロシア出身の方に話を聞いてみると、「これはロシアでは当たり前に見かける器具」とのこと。
「公園はもちろん、学校や住宅の空きスペースなどにもあり、子どもから大人までが利用しています。川やプールサイドに設置されていることも多く、泳いだ後、さらに筋肉を使った運動をする人がいます。そういう習慣というか、長年の文化ですね

カザフスタンも旧ソ連時代から、その文化に当たり前のように触れてきたのだと思います。実際、小学生くらいの子どもたちがサッカーをして遊びながら、その合間にトレーニングをしている姿を見かけました。
いや、遊んでいるような笑顔の彼らには「トレーニング」という意識はないでしょう。「マシン」というより、ブランコと同じような「遊具」という感覚なのだと思います。しかし、そうしているうちに、いつの間にか基本的な筋肉が鍛えられたり、筋肉の使い方を学習したりしているに違いありません。

余談ですが、近年は危険だという理由で日本の公園から遊具が減少しています(箱型ブランコなど)。消えたものの中でとくに好きだったのが、骨組みの大きな球体が回る例のアレ。僕が子どもの頃は、つかまっている人が遠心力で次々と吹っ飛ばされる光景は日常茶飯事でした。ただ、日本のどこかで事故が起きたからといって、何でも撤去してしまうのは違うような気がします。そんなことを言いはじめたら、変な話、ブランコやすべり台だって使いようによっては十分危険だと思うのですが……。

閑話休題、旧ソ連と言えば、英才教育によって多彩な分野で活躍するアスリートを育ててきたスポーツ大国。そんな歴史が、素朴な街の風景の中にも表われていました。今もロシアや旧ソ連国からトップアスリートが生まれ続ける理由は、このような国や町の取り組みが背景にあるのかもしれません。彼らの強さの原点を垣間見たような気がしました。

実際にやってみると、これらのマシンは「てこの原理」が効いているため、全体重がかからず、軽めの力でも上がるようになっています。
そのため本格的に筋肉を追い込むにはかなりの回数をこなさなければいけないと思いますが、普通のジムにあるマシンと同じようにフォームや軌道が乱れることはないので、狙った筋肉にしっかり効かせることができます

しかも、自分の体が持ち上がるので、なんとも楽しい!

帰国してから、複数のトレーナーさんにこのマシンの動画をお見せしたところ、みなさん「こんな器具は見たことがない」とおっしゃっていました。
幼少年期の体づくり、女性や中高年のちょっとした運動にも適していると思うので、ぜひ日本でも導入してほしいですね。
(読者の皆さん、日本でも見かけたら情報をお送りください)