金魚運動を知っていますか? ②




ユニークな脊椎の矯正法

体をぶるぶると揺らしてみてから、立ってみると何だか背筋が真っすぐになっているような気がする。脊椎を矯正する目的でやったのだから、先入観なのかもしれないが、スッキリした心地になるし、実は筆者が通っている武道の道場では稽古の前後に金魚運動をしている人がいる。

西式健康法によると、人の手を借りずにできるユニークで画期的な脊椎の矯正法でもあり、微振動によって内臓に刺激を与え、また内臓器官を解剖学的位置に整え、生理的機能の正常に整えるのだ。

金魚運動という名前の由来は前回も話をしたが、水質の悪い水の中で弱々しく傾いて泳いでいる金魚は尾っぽを持ってぶるぶると小さく振ってやると息を吹き返したように元気に泳ぎだすところから生まれた。

魚は口とエラで呼吸するが水質の悪いところでは呼吸が大変になり、すると脊椎と脊椎の間の軟骨に縮みが起こって、斜めになって泳ぐようになってしまう。そこで軟骨の縮みをなくし、泳ぎやすくするために正常な脊椎にしてやるために尾っぽを振ってやるのだ。

自分の体が曲がっているかどうかをみるには真正面から鏡で見てみればわかる。両肩の高さが異なっていれば、まず横に傾いていて側湾曲になっているということだ。我々は仕事や日常の生活の中で上体を横に傾ける傾向がある。仕事中の姿勢とか、重い鞄を肩から下げて仕事に行くとか……。

健康的な体を維持していくためには脊椎の構造的な側弯曲を予防し、また仕事を終えてから、仕事中に側弯曲になっている体をその日のうちに整正する必要がある。

金魚運動で仕事中におこった側湾曲を整正して、脊髄神経への圧迫や末梢神経のマヒを防いで、全身の神経機能を整正していこう

また直立歩行、直立生活をする人間は重力を受けているため内臓器官が下垂してしまっている場合が多い。下垂すると便秘となり、腸ねん転、腸閉塞を起こしやすくなる。これらを防ぐ意味でも金魚運動で内臓器官を刺激して、また腸などの内臓を正常な位置に戻して、本来の機能を促進していく必要があるのだ。

では金魚運動のやり方を紹介しよう。画像のように平面上の床に仰向けになって、両手を頸部のところで組んで両肘を張って開き、金魚が泳ぐように体を早く細かくぶるぶると振る。その時、両足は真っすぐに伸ばしていて、つま先は床に直角に立てるようにする。

この動きで脊椎の湾曲を矯正する

重要なのはふかふかのベットや布団の上ではなく、畳や床の平面に寝て行うこと。これは平面に寝ることで自分の体重で、脊柱の整正を行っていることになるわけで、頚椎の副脱臼を自然に修復することになるのだ。

金魚運動の時間は1分くらいが目安。朝と仕事終わりの夕方がいいが、そこは適宜でお願いしたい。

 
文/安田拡了

参考資料:西勝造著作集第一巻「西医学の基本」(昭和53年、柏樹社発行)