運動会前日のトンカツはOK?【川﨑泰代の美筋食 第18回】




「走るフードコーディネーター」川﨑泰代さんに体もづくり、健康づくりのための食事と栄養について教わる連載。身近なテーマに関する質問に答えてもらいます。今回のテーマは運動会前日の食事について。

Q.5月は運動会シーズンですが、我が家では昔ながらの発想で前日にトンカツを食べる伝統があります。胃にもたれそうですけど、前日にトンカツを食べても問題はないでしょうか? また、前日に食べるといいものがあったら知りたいです。

A.私の母も運動会の前や試合の前など、勝たないといけないという時は、前日の夕飯にトンカツやカツ丼を出してくれました。トンカツの豚肉はビタミンB1が豊富で、疲労回復効果があり、タンパク質も優れたものがあるため、食事のメニューとして豚肉を使うのはいいと思います。ただし、揚げ物は胃に負担がかかって消化が悪いため、パフォーマンスにも影響が出てきます。豚肉を食べるにしても、揚げるという調理方法は運動会や大会の前日は、控えるようにしたほうがいいかもしれません。

たとえば、揚げるのではなく、しゃぶしゃぶサラダにして野菜と組み合わせてみたり、野菜の肉巻きみたいな形にしてタレをつけて焼いてみたりというように、調理方法によって豚肉はすごく優れたメニューになります。前日に食べるなら揚げ物よりも、こういう食べ方がいいと思います。「胃にもたれそう」と皆さんが思うように、実際に揚げ物は胃にもたれます。エネルギーになる以上に消化が悪くてパフォーマンスを阻害してしまうので、あまりオススメはできません。

ただ、一概に揚げ物がダメとも言えません。自分が大好きなものを食べたほうが力が出るというタイプの人もいるからです。胃がすごく強くて全然気にしないという人もいますし、逆にしゃぶしゃぶにしてサラダと一緒に食べるというメニューでは、力が出ないという人もなかにはいます。そういう場合は、トンカツだけでなく、バランスを取ることが大事です。糖質もあって、お野菜などのビタミンもあって、タンパク質もあってというように、日頃からバランスの取れた食事をしていると、運動会や試合の前日だからということあまり気にしなくてもよくなります。

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運動会のときのお弁当も唐揚げやポテトフライなど揚げ物が多くなりがちだと思います。お子さんが喜んでくれるのが一番だと思いますが、私が食材としてオススメしたいのは鮭です。おかずとしてだけでなく、おにぎりの中身にも鮭は最適です。鮭はタンパク質がありますし、少し塩分も入っているので、汗をかいた後の塩分補給にもなります。

お弁当のコツは彩りを鮮やかにすることです。トマトや梅干しなどの赤、卵焼きの黄色、お野菜の緑、そして揚げ物の茶色というように、彩りを鮮やかにすると、バランスも整うようになります。彩りという部分でも、鮭はすごくいいですし、栄養的にもいいので、ぜひお弁当に取り入れてもらえたらと思います。

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川﨑泰代(かわさき・やすよ)
フードコーディネーター。アスリートフードマイスター。食育インストラクター。IHクッキングクリエーター。小学生のころよりバレーボールを始め、以来スポーツが生活に欠かせないものとなる。「走るフードコーディネーター」として、自らもフルマラソンに挑戦するなどアスリートとしての顔も持つ。自身の経験から「強い体と心は『食事』で作られる」と言うコンセプトのもと、一般アスリートからトッププロまで幅広く食事を指導。現在はサッカーJリーグU-18育成選手の食事指導にもあたっている。テレビ、ラジオ、雑誌などメディアでも活動している。
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