神童・那須川天心にググっと肉迫③【水道橋博士の体言壮語】




水道橋博士がVITUP!に降臨。カラダを使うヒト、モノ、コトバ、ハウツー等、自信を持ってオススメ!世界から注目される格闘技界の神童・那須川天心選手に迫る!第3回は、強豪との頂上決戦から壁を打ち破る、という話への展開。

「百獣の王」が負けを認めた!?

――今、最も見たい夢のカードとして堀口恭司選手(RIZINバンタム級トーナメント優勝、元修斗世界フェザー級王者、UFCで世界タイトル挑戦)との対決が話題になっています。総合格闘技では世界トップレベルの選手との頂上決戦ですが、キックボクシングルールで堀口選手が闘えばどうなるでしょうね?

博士:堀口選手も確実にワールドクラスでも間違いなく現役最強だし、とにかくスピードがすごいよね。

天心:速いですね。飛び込みも速くて距離(間合い)は遠いんで。なかなかあれに太刀打ちできる選手はいないと思います。

博士:やったことのないキックルールで闘いたい、と堀口選手は言っている。

天心:そうですね。やっぱりそう言ってもらえるのは本当に嬉しいです。自分も堀口選手のことをすごく認めています。

博士:強いに決まってますもんね。

天心:ほんと、キックルールでもめちゃくちゃ強いと思います。

――堀口選手は7‐3でキックでも俺のほうが強いって言ってるんですよね。それは数字的にどうですか?

天心:まあ、自分の評価と相手の評価は違うので、自分は絶対勝てると思ってますけどね。

博士:いくらなんでも7‐3はねえだろってね(笑)。まあ今年はずっと(RIZINでの対戦が期待されている)大晦日の堀口戦を目標としてね。

天心:それに向かっていくしかないですね。  

博士:でも(天心選手は)プロデビューから進行形でもっと強くなるって思ってるわけじゃないですか。今、築いてきた、この強さを維持しようということじゃないよね。

天心:維持は絶対嫌ですね。維持しようと思ったらたぶん弱くなっちゃうと思うんで。どんどん上を目指して。自分はどこまで強くなれるかというのが楽しみですね。

博士:堀口戦で勝ったら次(の日本人対決)はないだろうなあ(笑)。

――次はRISE125(6月17日:幕張メッセ・イベントホール)でロッタン・ジットムアンノン戦ですね。天心選手が最強の敵だったと認めるスアキム選手もダウンさせて圧勝しているムエタイの超強豪と、RISE世界フェザー級(57.15kg以下)王座の初代王者決定戦を争います。ルンピニースタジアム(タイのメジャースタジアム)認定スーパーフェザー級でトップクラス、ということは階級が上の選手との世界タイトル戦ですね?

天心:自分は55kgぐらいでやっていますけど、でも(同じ階級には)もう相手がいないんですよね。強い選手もいないですし、だから階級を上げて強い選手がいるなら挑戦するべきだと思いましたね。でもこれでまた世界に名前が知れると思うので、それでまた挑戦してくれる選手もいると思うんですよね。

――昔はキックボクシングで強いタイ人選手とやると、層が分厚い中から出てきた選手だから、なかなか敵(かな)わないという雰囲気がありましたが、それは全く感じていない?

天心:そうですね。敵わないと思うほうが自分はおかしいんじゃないかと思うので。やっぱり日本人じゃなかなかいないタイプだと思うんですよね。中学生の頃から自分はプロで生きると決めてやっていたので、そのために高校も選びましたし。他の人と人生の懸け方が違うというか。だからタイ人とかにも勝てるというのがあると思います。

博士:そう言えば、武井壮さんって会ったことある?

天心:あります、何度か。

博士:武井壮さんって、タレントとしても大成功しているけど、もともと陸上のアスリートで、天心選手と共通する、考え方するでしょ。年齢に壁があると思っているのは違うとか、あの人は最低でも300歳生きるって。

天心:(笑)。

博士:彼の専門の陸上の10種競技も10何年破られてない日本記録を作ったじゃん。それでも彼はもともと、子供の頃から陸上をやっていたわけじゃないからね。大学に入ってから陸上を始めて、どうやればできるかっていうところから自問自答でやっていって。つまりスポーツには、ジャンルもベストの数字にも壁がないということだよね。これは無理だって言った段階で無理になる。

天心:一回対談させてもらったんですけど、壁は作りたくないって言ってました。陸上とかも100mで9秒台が出ましたけど、たぶんもっと出ると思うんですよね。そういうことを自分は格闘技でやっていって、じゃあいけるんだろうなと他の人に思ってもらえたらいいですね。武井さんとは考え方の似た部分がありましたね。すごく共感してくれて。

博士:そうそう。壁を作らないから、実は、彼は陸上だけでなく、コンディショニングに精通していて、すべてのジャンルのコーチングができるんですよ。

天心:でも自分(天心)には勝てないかもなって言ってましたね。だからちょっと嬉しかったです。

博士:珍しいなー(笑)。リップサービスでも言わないから。「百獣の王」がそう言ったのは初めてなんじゃない? 聞いたことないもん! 世間を振り向かせるためにも、天心選手ももっとバラエティ番組とかにも出たほうがいいのかもね。

天心:そうですね。今ちょこちょこいろんな話はもらっているんで。

博士:あとはトップアイドルと結婚するとか。まだ駆け出し時代の猪木のように、倍賞美津子(アントニオ猪木元夫人)と結婚するとか。そういう野望はある?

天心:(笑)。特にないですね。

博士:いやいや、謙虚で浮ついてないところが立派だよ。格闘家と芸能人のカップルは絵になるからね。だけど、人を見て付き合えばいいから。この人はちゃんと家族になる人だよな、とかさ。そういうのを確かめて、大きい“敵”を狙ってほしい。日本人とは限らないからね(笑)。ハリウッド女優とかも、圏内だよ(笑)。

(第4回につづく)

水道橋博士(すいどうばしはかせ)
1986年にビートたけしに弟子入り、翌年、玉袋筋太郎と「浅草キッド」を結成。芸人としてはもちろん、文筆家としても精力的に活動。『藝人春秋2』(文藝春秋)『博士の異常な健康―文庫増毛版』 (幻冬舎文庫)など著書多数。日本最大級のメールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』の編集長、またユーチューバーとしても絶賛活動中。
那須川天心(なすかわてんしん)
1998年生まれ。「神童」と呼ばれる天才ファイター。RIZEを主戦場に、KNOCKOUT、RIZINで、キックボクシングルールと総合格闘技ルールの二刀流をこなして現在30連勝中無敗。世界中から注目され、格闘技の枠を超えたスーパースターへの成長が期待されている。TEPPEN GYM

構成/押切伸一 撮影/山中順子