【技アリ☆トレーナーズ】プロレスラーとトレーナーの二刀流・金丸義信①




実力派のジュニア戦士として知られるプロレスラー金丸義信選手は、ボディメイクのパーソナルトレーナーとしても活動している。プロレスラーとしての経験を活かした、トレーニングする人に寄り添った指導とは? 金丸さんのトレーナーとしての一面を紹介しよう。

プロレスラーの体づくりは瞬発力と持久力の両方
この経験があるからお客様の幅広いニーズに応えられる

専門知識でサポートしてくれるパーソナルトレーナー。体を動かす動機、目的は様々。それだけにトレーナーに求める要素も幅広くなってくる。目標を達成させるための、ひと味違った「技」「個性」という強みを持っているトレーナーは心強い。

金丸義信さんには、プロレスラー歴22年という得難い実績がある。闘いの最前線でサバイバルしてきた肉体は説得力を持っている。

1996年、全日本プロレスでデビュー後、2000年にはプロレスリング・ノアに移籍、団体を代表するジュニア戦士として活躍する。IWGPジュニアヘビー級タッグ王座、世界ジュニアヘビー級王座、GHCジュニアヘビー級王座&タッグ王座と数多くのベルトを手にしてきた。現在は新日本プロレスで鈴木みのる選手を中心とするユニット『鈴木軍』のメンバーとして活躍している(新日本プロレスHP)。

その金丸さんがパーソナルトレーナーとして指導する場、『BODY RIGHT STUDIO(ボディライトスタジオ)』を訪ねた。東急田園都市線三軒茶屋駅近くにありながら、どこか隠れ家風な雰囲気のあるスペースだ。

出迎えてくれた金丸さんはとても気さくで自然体。親しみやすい笑顔も印象的で、クライアントとしては安心できる雰囲気だが、プロレスラーとしては、ヒールのキャラクターとのギャップがあるが……。

「僕をプロレスラーだとあらかじめ知っていて、こちらに来られる方はほんのわずかですね」と意外な答え。

会員となった人たちはパーソナルジムを探していて、良さそうだと思ってチョイスしたのが『BODY RIGHT STUDIO』であり、金丸さんがプロレスラーだから、という理由ではないという。もちろん、プロレラーとして知っている人が指導を受けるのもまったく問題はないとのこと。

パーソナルトレーナーへの興味が目覚めたのは、金丸さんが雑誌の表紙を飾ることになり、肉体改造のために、トレーナーの指導を受けたのがきっかけだった。

プロレス流のハードな鍛え方とは異なるコンセプトと食事法で一般の人のボディメイクをしていく、そこに可能性を感じた。

「一般のお客さんですから、一番多い目的としては体重を落としたい、です。それに加えて筋肉をつけて見た目も良くしたい、体調管理したい、という目的の方も多いです。プロレスラーの体づくりは、瞬発力と持久力の両方を鍛えていかなくてはなりません。お客様の幅広いニーズにも、この体験があるからこそ柔軟に対応できます」

金丸さんは、プロレスラーとして、体に恵まれていたわけではない。甲子園を目指す高校球児として野球漬けの日々を送っていたが、当時の体重は60キロほどだったという。部活動が終わり、プロレスラーになるべく、トレーニングを徹底して行ない、食べに食べた。

「野球部員としても体は小さい方でしたから。全日本プロレスでの道場での合同練習はかなりキツくて、自分からやるというよりはメニューや回数を“こなす”という感じでした。リーダーは小橋建太(当時・健太)さんでした。でも、高校時代の野球部の練習もキツかったんですけどね(笑)」

プロレスの合同練習というと、選ばれし者たちが肉体的にも精神的にも自分をとことん追い込むという印象がある。そんな“エリート”でありながら、金丸さんは一般人がトレーニングで得られる喜びにも目を向けた。

「プロレスラーは体が目に見えて大きくなってくると、ハードな練習でも目標持ってやれるようになる。一般の方も体が変わるとモチベーションが続きますよね。ただし、自分だけでやろうとしてもどうしても追い込めないところがある。また、皆さん社会人で忙しいので、同じペースでトレーニングできないといったことは当然だと思います。そして、ダイエットであれば、食事面でもムラが出ないようにしないといけない。僕のようなトレーナーがつくことで、効率的にそして安全に、結果を出すことができます。勝つための体作りを追求してきた自分の経験を、お客様の理想の体づくりに活かせる、これは僕の強みであり、喜びですね」

取材・文/押切伸一 撮影/神田勲

金丸義信(かねまる・よしのぶ)
1976年生まれ。巧みなインサイドワークとテクニックを誇る実力派プロレスラー。現在は新日本プロレスを主戦場としている。ニックネームは「ノブさん」。パーソナルトレーナーとしての活動を経て、完全個室プライベートジム「BODY RIGHT STUDIO(ボディライトスタジオ)」の代表兼インストラクターをつとめている。ジムは16回のコースが基本となり、60分と75分の2パターンがある。