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トレーニング中に声を出しますか?【ジムほど素敵な場所はない #02】




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ジムでは様々な人たちが汗をかき、顔をゆがめ、がんばる自分をさらけ出しています。と、第1回で書きました。

ただ、中には体は一生懸命に動かしているけれども、表情は崩さないというクールな方もいます。いやむしろ、そういうタイプのほうが割合としては多いかもしれません。
筋力アップやダイエットという目標を叶えるためにがんばっているのは間違いないのですが、そのがんばりを顔には出さない。これも一つの美学であり、生き様であると言えるでしょう。

それでも、ある時から表情を崩すことに抵抗を感じなくなる例もあります。その場の雰囲気に慣れてきたせいかもしれません。単に開き直ったのかもしれません。いずれにせよ、その一線を越えることができた人は「ジムの住人」としてのステージが一段階上がったと言えます。

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そのうちの一部は、さらにしばらくすると次なる一線を越え、もう一段階上のステージに上がる場合があります。ジムのタイプにもよりますが、このステージは数%の人しか到達しない狭き門です。

それは「声を出す」こと。
うめき声や溜め息レベルの人ならどこにでもいますが、「ああ!」とか「うおお!」とか「くっそ!」とか素直すぎるほど素直に大きめの声を発する人もいます。最近は女性にも増えてきたように感じます。
それに対し、「うるせえな」という視線が向けられることもあります。しかし個人的には、こういう積極的でストレートなタイプは好きです。ここはジム。自分自身と戦う場なのです。

皆さんは声を出しますか? いや、出せますか?

知らない人がたくさんいる中で、なかなか出せませんよね。私は負荷が重くなってくると出すことがありますが、時と場合によっては躊躇してしまうこともあります。まわりを見渡し、このメンバーなら冷たい目を向けられないかな、と確認してから出すこともあります。

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そんな自分を棚に上げて言いますが、恥かしさを乗り越え、チャンスがあれば思い切って声を出してみることもオススメします。
一つには「人目が気になる」という壁を越えることができるからです。それによって、よりトレーニングへの集中力が増し、その結果、効果も高まることが期待できます。

もう一つの理由としては、同じタイプの友達ができます。
本気でトレーニングをしている人は、同じように本気感を出している人を探していたりします。声を出すという行為は「本気ですよ」という合図となり、休憩中に「もう長いんですか?」などと声をかけられたりして、わかりあえる仲間と出会うきっかけになる可能性があります。

少し真面目な話をすると、大声を出すことで筋力が高まる効果もあります。
「シャウト効果」と言いますが、それによって5%も筋力がアップしたという実験結果もあるそうです。ハンマー投げなど投擲のアスリートがよく大声を出していますが、あれは思わず出てしまったのではなく、飛距離を伸ばすためのテクニックでもあるのでしょう。
筋トレでも、声を出すことでトータルの使用重量が上がるかもしれませんし、限界と思っていたところから「ラスト1回」が追加できるかもしれません。

ということで、遠慮せずに自分をさらけ出してみましょう。
いろいろな意味で、未知の世界への扉を開くことができるかもしれません。

※もちろん人に迷惑のかからない程度でお願いします。また、一般のジムでは大声を出すこと自体を禁止しているところも多いので、場所を選ぶことも必要です。

文/ジェット・ハヤタ