【My Training Life】Vol.10松井麻美(Super Body Contest 4位入賞)




アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、先日行なわれた「Super Body Contest」決勝大会MONARCHクラスで4位入賞を果たした松井麻美さん。彼女はなぜトレーニングを続け、コンテストのステージに立ち続けるのかだろうか?

「スノーボードのスロープスタイルという、階段の手すりの上を滑るようなけっこう危ないやつをやっていたんですけど、背骨を折ったり、顔の骨も折ったり、もうケガだらけなんですよ!顔の骨を折ったときなんか、目を支えている骨が折れちゃったので、目が顔の奥のほうへ陥没していっちゃって。友達には『顔がやべーことになってるぞ』なんて言われて、もうエライこっちゃって感じですよね(笑)」

自分の身に降りかかったとんでもない出来事も、さも楽しかった思い出のように話し続ける松井麻美さん。人生には苦しいこと、辛いことは誰にでも少なからずあるだろうが、どんなことがあろうとも、「楽しい」ほうへ気持ちを持っていくこと、それが彼女の生き方のようだ。

「初めてコンテストのステージに立ったときはやっぱり緊張しましたし、こんなに体が震えたなんてことはこれまでの人生にはなかっただろうなって今になって思います。ただ、それが中毒になったというか、終わったときには純粋に楽しい、そしてまた出たいって思いました」

約2年前に初めてボディメイクのコンテストに出場したときのことをそう振り返る松井さん。今年初開催となった「Super Body Contest」(以下、SBC)において、開幕戦となった8月の東京大会MONARCHクラスで優勝、加えてオーバーオール優勝である「Champion of the show Lady’s」にも輝き、全国決勝大会である「SBC TOKYO FINAL」では同クラス4位入賞と輝かしい実績を残している。今では年に数回ステージに立つ彼女だが、トレーニングをはじめたきっかけは意外にもあっさりしたものだった。

「学生のときはバスケットボールを、大人になってからは趣味でスノーボードをやって大会にもよく出ていたこともあり、割と筋肉質ではあったんです。そんな私を見た友人が『ボディメイクコンテストとか出てみなよ』って急に言ってきて。『え、何それ?』と思ったんですけど、とりあえず楽しそうだったのでエントリーだけしてみたんです」

よくわからないままエントリーしたこの大会は、多数の参加者がステージに立つ大きな大会であることも、そもそも水着でステージに立つ大会であるということも知らなかった。それを知った松井さんは、「今の体のままでは大会に出られない」と思い、トレーニングをはじめたのだという。

「それまで太ったりしないように気を付けて生活はしてきましたけど、いわゆるボディメイクというものはしたことはありませんでした。とりあえず、自分のお尻が好きではなかったので、ヒップアップを目指してまずはお尻のトレーニングばっかりやるところからはじめたんです。そうしたら、大会までの2ヶ月でお尻がクッと上がったんですよ!もうその過程が楽しくて、楽しくて。やればそのぶん体って変わるんだと実感しました」

トレーニングで体型が変わっていくことの楽しさ、大会でステージに立つことの楽しさを知り、この世界にどんどんのめり込んでいった。ただ、普段は長野で生活をしており、ジムなどに通っての本格的なトレーニングはしていないとのこと。

「月に数回、東京に来てSBCのレッスンコーチである木下智愛さんにいろいろ教えてもらっているんですけど、家には器具などはなく同じトレーニングはできないので、ペットボトルとかあるものを使ってなんとか同じような動きができるように試行錯誤しています。あと長野はクルマ社会なので、助手席に乗っているときは背もたれは全部倒して、体をちょっと傾ける姿勢を保ったり。取っ手にチューブを引っかけて引っ張ってみたり。もう対向車の人はビックリですよね(笑)」

トレーニングに励み、大会に出ていくなかで周囲からも体作りの秘訣を聞かれるようにもなったという。注目されることの喜びや充実感はモチベーションになりえることではあるが、東京と長野を行き来しながらレッスンに通ったり、日々のトレーニングによる努力を重ねて体型を保ったりするのは決して楽なことではないはずだ。いったいその活力となるのはどこにあるのか。

「『自慢のママでありたい』です。長女がいま11歳なんですけど、大会に出ている私を見て『ママ、カッコイイね。大きくなったらママと同じ大会に出たい』と言ってくれたんですよ。それがもう、本当に嬉しくて。『もしかしたら一緒に大会に出れるかもね』という話もしているんです。そのときは私はいくつになってるんだろう?っていう気はしますけど(笑)。いつか一緒に出れるかな……?」

楽しいから続けられる。子供が見てくれているから続けられる。ほんの軽い気持ちからはじまったトレーニングライフだが、「周りの人に『すごいね』と言われる体であり続けたい」という一つの目標も見つかった。また、SBC決勝大会で4位となったことで、「まだ上を目指せる」という思いも芽生えた。ただ、「とにかく楽しむことが大切」という思いはこれからも変わらない。

「大会でステージに立つとなると最初は緊張するかもしれないですけど、その一歩を踏み出すことができれば、今まで見たことがない楽しくてしょうがない世界だと私は感じました。一緒にステージに立つ人が増えたらいいなと思います。SBCでは出場者同士がすごく仲良くなれたんですよ!大会なのでもちろん優勝を争ってはいるんですけど、良い意味でピリピリしすぎてなくて。バックステージではワチャワチャ一緒に写真を撮ったりパンプアップしたりして(笑)。みんなで楽しもうという雰囲気でした。来年はどの大会に出ようか、今から楽しみです」

もしトレーニングは辛くて苦しいものと思っている方、あるいは大会出場を躊躇している方がいるのであれば、ぜひコンテストの会場に一度足を運んでほしい。そこで得られる「楽しさ」をステージ上で体現する松井さんが、あなたが進むべき道をほんのり明るく照らしてくれるはずだから。

取材・文・写真/木村雄大

★VITUP! アンケート★

【はじめたきっかけ】
ボディメイクのコンテストに出るよう友人に誘われて

【プラスになったこと】
楽しいと思えることが増えた

【好きな種目と理由】
ヒップアップにつながるトレーニング

【モチベーションの保ち方】
「自慢のママでありたい」という思い

【やる気が出た一言】
長女に「ママと同じ大会に出たい」と言われたこと

【トレーニングに求めること】
周りの人に「すごいね」と言われる体であり続けること

【これからの目標】
長女と同じステージに立つ