アップの目的はケガをしないこと、
パフォーマンスを高めること
子どもの頃、体育の時間や習い事でスポーツをする前は、必ず準備運動、ウォーミングアップをするように教わってきたと思います。ウエイトトレーニング前のアップの仕方は人それぞれですが、学校の体育の時間に準備運動としてやったような長く静止して筋肉を伸ばすタイプのストレッチは、あまり適していないかもしれません。ストレッチで筋肉を伸ばしてから高重量を扱おうとすると、筋肉が緩んでしまっているため、ケガのリスクが大きくなるからです。
ウエイトトレーニングの前は、静的ストレッチよりも使う部位を効果的に動かすことが大事。軽い重量で、その種目の動作をやりながら体をならしていく方法がいいかもしれません。たとえばベンチプレスならば、本セットに入る前に、軽い重量で筋肉を動かすようにします。扱う重量的には、5割→6割→7割と上げていきながら、10回を3セットくらいやるイメージです。スクワットの場合もアップとして25~30回できる軽い重量で2~3セットやってから、本セットに入っていくイメージです。アップをやりすぎてしまうと本セットに影響が出てしまうので、そこの見極めが大事になります。
アップの仕方は本当に人それぞれでいろいろなタイプの人がいます。ボディビルダーの方と話をすると、「まったくアップはしない」という人もいます。その理由は「重量を上げていくうちに勝手にストレッチされるから必要ない」というもの。確かにウエイトトレーニングの動作中にも、筋肉がストレッチされることはあります。パーシャルレンジではなく、フルレンジで行なえば、確実に筋肉は伸びます。そういう考え方もあるのだなと感心しました。
ただ、このやり方は筋量の多い上級者向けと言っていいでしょう。いきなり高重量から入っていけるのは、あくまでも筋量が多く、筋肉が発達したボディビルダーだからこそ。初心者は動的ストレッチなどである程度体を動かしてからやらないと、ケガにつながります。
連載第17回でマシントレーニングについての話を書きましたが、アップにはマシンを有効活用することもできます。ベンチプレスをやる前に、ラットプルダウンをフロントプルで行なうと、胸郭がグッと開くので、ベンチプレスがやりやすくなります。このようにケガのリスクが少ないマシンをアップに使うのはオススメです。
ウォーミングアップの目的は、ケガをしないようにすることであり、パフォーマンスを高めること。この目的が達成されるのであれば、やり方は人それぞれでOK。正解は一つとは限らないので、自分により合ったアップ方法を見つけてもらえればと思います。
1983年2月10日、宮城県出身。闘龍門に入門し、2002年5月11日、メキシコ・アレナ・コリセオでの橋本史之戦でデビュー。2006年からNOAHに参戦し、GHCジュニアヘビー級王座最多防衛記録となる10度の防衛を記録。2018年にNOAHを退団し、現在は新日本プロレスを主戦場として、ジュニアヘビー級戦線で活躍している。プロレス界でも屈指の筋肉美の持ち主。