意外なトレーニング遍歴を語る【しみけんインタビュー 第1回】




AV男優・しみけん。いまやその活動は男優だけにとどまらず、イベントや書籍の出版、講演会、「地下クイズ王」としての活動など、マルチな才能を発揮させている。そんな彼は、週4でジムに通うほどのトレーニング好き。5回にわたるこのインタビューでは、その意外な過去やトレーニングをはじめたきっかけ・転機、そして現在のトレーニング法を紹介する。

ボクシングにハマった高校時代

――そもそも身体を鍛えようと思ったきっかけはなんだったんですか?

しみけん 小さい頃から両親にめちゃくちゃ勉強をさせられていて、ずっと親の敷いたレールに乗っていたんです。中学も受験して進んだんですけど、そこでアニメ・マンガ・クイズという、オタクっぽい趣味にハマって。そのとき「あしたのジョー」に出会って、「ボクシングすげー楽しそう」と思って。高校入る直前に「ボクシングジムに通わせてください」って初めて自分から親にお願いしたんですよ。

――それまでに運動経験は?

しみけん 帰宅部で、運動は特にはしていなかったですね。ボクシングジムに通い始めたら、それまで色白で小太りだった身体がみるみる痩せていったんです。それが面白くて。あと学校って、同年代の人としか会わないじゃないですか。でもボクシングジムにはいろんな年代の人が来る。若い姉ちゃんもいればじいちゃんもいるし、大人もいれば怖い人もいて。社会人と触れ合うのがすごく楽しくて、刺激になりました。そうやって通っているうちに、細マッチョな、ブルース・リー氏みたいな身体になったんです。一番腹筋も割れていた頃じゃないかな。

――高校生の頃が一番腹筋が割れていたんですか。

しみけん 割れていましたね。だけどやっぱりボクシングをやっていて体重が50kg前後だと、服を着たときにめちゃくちゃ痩せて見えるんですね。だからそれがコンプレックスで、高校卒業と同時に「筋トレしよう」と思ったんです。そのときはまだジムに通うという発想がなかったので、『月刊ボディビルディング』とか『マッスル&フィットネス』を熟読して、部屋中にボディビルダーのポスターを貼って(笑)。ベンチプレスとラットプルが一緒になっているホームジムみたいなのを買って、家でトレーニングしていました。

運命を変えた小沼敏雄さんの一言

――社会人になって、自分のお給料で買われたんですよね。

しみけん そうです。でもベンチプレスが60kgを超えてくると、家だと不安なんですよ。つぶれたときにどうしようとか思うと(笑)。あとモチベーションあがらないときもありましたね。それで家の近くのジムに通い始めたのが、22歳のときかな。

――そこで本格的なジム通いが始まったんですね。

しみけん それが本格的じゃなかったんですよ。近くのジムは、ダンベルが20kgまでしかなくて(笑)。でも雑誌で学んだ「分割法」を実践して、仕事しながら週に4日は通っていましたね。フリーウエイトをやり始めたら、体重はすごく増えました。

――もうそこでかなりトレーニングを始められてたんですね。

しみけん やっていました。それで、あるときその通っていたジムの違う店舗に行ってみようと思って歩いていたら、向こうからすごくデカい人が歩いてきて、その方がボディビル界のレジェンド・小沼敏雄さんだったんです。デカいのと独特の見た目、歩く姿のオーラからすぐわかりました(笑)。それで「握手してください!」って近付いていったんです。そうしたら小沼さん、全く知らない赤の他人の僕に「おお~、今日は中野のゴールドジムがオープンする日だぞ。来るのか」っとおっしゃったのです。「はい!行きます!」って言って、その足で入会しました。だから中野のゴールドジムには早い段階で入っていて、会員ナンバーも相当早いです(笑)。そこから中野のゴールドジムに通い始めて全日本レベルの方たちに出会い、たくさんの事を教わりました。

――ではそのときの小沼さんとの出会いというのは、本当に大きかったんですね。

しみけん 人生が変わりましたね。今はジムの店舗が変わってしまったのでお会いできていませんが、トレーニングベルトは今でも小沼さんのサインが入ったものを使っています。

(続く)

(しみけんさんにご提供いただいた動画)

取材・文/安多香子

写真/中田有香