吉田篤の「高密度BODY」レッスン③アレクサンダー・テクニーク&孔雀のポーズで、自己調整のエネルギーを生み出す!




これまで2回にわたって、身体のエネルギーを高めるためのメソッド「高密度BODY」を紹介してきました。最後にお伝えするのは、ヨガの「孔雀のポーズ」を、身体教育メソッドの「アレクサンダー・テクニーク」を応用して、エネルギーを飛躍的にアップさせる方法です。

元気のない現代人に必要なのは、爽快になれる「上昇」のエネルギー

これまで2回にわたり、身体の動きによって全身的なエネルギーの方向性を出し、エネルギーを内部圧縮させ、めぐらせる方法を解説してきました。繰り返しますが、これは太極拳や気功とも通じるメソッドだと考えるとわかりやすいでしょう。
吉田さんによると、「世の中にある多くの『気』をめぐらせるメソッドでは、下から上に上がる方向性を採用している」のだとか。
「地に足をつけて(グラウンディング)、天とつながるイメージですね。中にはもちろん、エネルギーを下に方向付ける方法もあり、落ち着きが出るという効果があるので、それはそれで悪くありません。ただ近頃は、落ち着きを通り過ぎて、だらっと弱くなっている人が多いので、高めるワークがおすすめです」(吉田さん)

エネルギーが上に向かうと、非常に爽快な感覚を味わえます。そして最後に紹介するのが、吉田さんおすすめの、ヨガの「孔雀のポーズ」をアレクサンダー・テクニークで応用したワークです。
「このワークを行うと、身体のエネルギーの内部圧縮が非常に強く起こり、とてもリフレッシュできます。もともと孔雀のポーズは、パワーヨガの1つで、見た目は筋トレのように見えるのですが、腕力だけでやるのではなくて、全体のバランスをとるのが重要です」(吉田さん)

 

3、「孔雀のポーズ」のワーク

① マットの上に、四つん這いになります。

② 集中し、肘を支点にして、身体を持ち上げます。

肘を使って身体を持ち上げようとするとき、同時に、頭と胴体をわずか前方に出すようにしてみましょう。そうすると、身体全体が傾斜するので、傾斜したタイミングで身体が持ち上がり、同時に内部圧縮の作用も働きます。アレクサンダー・テクニークでは、「動きは、まず頭部がリードして、胴体がそれに追従する」という考え方があります。これを応用します。身体を浮かせる前に、まず頭と胴体で「前」への方向性を出してあげると身体のエネルギーに全体性が出て、腕の動きもついてきやすくなります。

③ 身体を持ち上げたとき、手指の向きを「前」にしてください。前か後ろかで、効果が変わります。

このワークの場合、身体がめぐるエネルギーは筋膜のルートを経由して流れています。手指の方向性が逆だとエネルギーが滞り、スムーズに回らなくなってしまいます。
この孔雀のポーズはいきなりやろうとすると難しいのですが、一度身体を持ち上がることができれば、反射作用が生じてエネルギーの強い内部圧縮が起こります。孔雀のポーズは解毒効果が非常にあると言われていて、デトックスをしたい人におすすめです。
「孔雀のポーズに限らず、アレクサンダー・テクニークの方向性の理論を取り入れてやると、いろんなトレーニングの質が高まります」(吉田さん)

最後に、動きは心の働きに大きな影響を与えると吉田さん。
「動き方を間違えると身体のケガにつながるだけでなく、心の状態にまで悪影響を及ぼす可能性があります。そういう意味では、学校で長時間机に座らざるを得ない子供や、オフィスワークのビジネスパーソンなどのエネルギー漏れが非常に心配ですね。また、最近、裾の長いボトムを履いている若者が多いですが、ああいう服を着ると、『だらん』とした感覚が生まれます。衣服でもエネルギーの方向性が出るので、そういったことも知っておき、どうやったら爽快な身体をつくれるかということを日常から意識しておくといいでしょう」(吉田さん)

これらのワークを通して、動きの方向性を利用しエネルギーを良好な状態で増幅させてみると、思考形態が変わり、悲しいことや嫌な刺激があっても関係なくなっていくと吉田さんは頷きます。辛い記憶も「そんなこともあったな」と受け止められるようになるのです。
トレーニング時も身体のエネルギーの方向性に気をつけていくと、一層活力が高まり、結果が向上していくでしょう。

取材・文/三島衣子

写真/安多香子

吉田篤(よしだ・あつし)
東京・門前仲町「Brain Free」代表。英国にて、「ボーエン テクニック」「アレクサンダー・テクニーク」「クラニオセイクラルセラピー」を習得。それらをベースにした独自の身体教育メソッドを多数開発。著書に、『頭蓋骨をユルめる!』『首からユルめる!』、監修DVDに『クラニオセイクラル・セラピー入門』『アレキサンダーテクニック』(いずれもBABジャパン刊)。