学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げるべくスタートした連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。2校目となる帝京大学バーベルクラブから、今回は主将の高橋豊友君が登場!「ぜひうちに来てください!」と連絡をくれたその熱い思いに応えるべく、ちびめがさんが話を伺いました。
あのステージは、立ってみないとわからない感覚がある
ちびめが 熱烈なオファーをいただき、ありがとうございました。今日はお話できるのを楽しみにしていたんですよ。
高橋 いえいえ、こちらこそ!僕もちびめがさんに会えるのをすごく楽しみにしていたんです。去年、東京オープンに出場したときにSNSのコメントで、「惜しかったですね、でも笑顔がこの数年見たなかでも一番いい選手でした」と言っていただいたのが本当に嬉しくて。ボディビルをずっと見ていただいている方にそんな風に言っていただけるのは、本当に嬉しいなと。
ちびめが ありがとうございます。そのときのことはまた後程伺いますが、まずは、なぜボディビルをはじめたのか教えてもらえますか?
高橋 きっかけは大学2年生になる頃、久しぶりに高校のときの友達に会ったんですけど、彼がすごく太っているように見えたんです。で、「太ったな~」みたいな話をしたんですけど、聞けばボディビルの増量期だったみたいで。彼がボディビルをやっているっていうのをそのときに初めて聞きました。もともと僕は筋トレが好きで市営のジムとかに通っていたんですけど、「ゴールドジムの無料券があるから一緒に行かないか」と誘われて、連れて行ってもらったんです。で、ロッカーで彼の裸を見たら、まったくもってデブじゃないんですよ。すごく筋肉が大きくて、純粋にそれに憧れるようになりました。自分の体を見たらお腹は出ているし、これこそただのデブだなって(笑)。負けたくないって思ったのがきっかけです。
ちびめが なるほど。でも、トレーニングをすることと、ボディビルという競技に出るというのはまた別の話じゃないですか?
高橋 そうですね。でも、やるからには何か目標があったほうがいいじゃないですか。彼に「せっかくならボディビル出てみろよ」と言われて。半年増量して、半年減量して、昨年の東京オープンに初めて出場することになりました。
ちびめが 結構な減量をしたとも聞きましたけど、それはなかなか覚悟がないとできないと思います。心が折れることはなかったですか?
高橋 最終的には23キロくらい落としましたね。正直、1年そこそこのトレーニングじゃたいして大きくもないし、最後の1ヶ月はポージングの練習をしていてもどんどん自信がなくなってしまいました。もう精神的にもきつくてやめたいとも思い、友人に相談したりしていたんですけど、せっかくここまでやってきたんだし、いろんな人が応援してくれるんだから、勝ちにこだわらなくていいから出るだけ出ようぜって。なんとか気持ちを持ち直すことができ、とにかく死に物狂いで頑張りました。
ちびめが その東京オープン私は初めて高橋君のことを見たのですが、すごく自由に楽しそうにしていた姿が目についてよく覚えていたんです。結果は厳しいかなと感じつつもすごくアピールする姿が印象的で。ステージ上ではどんな気持ちでしたか?
高橋 今までずっと太っていたので、その当日の自分は「人生で最高の姿」だと思っていました。ステージに立つ前は、周りの人たちはデカいし、絶対に勝てるわけない……という気持ちがありましたけど、友人が見に来てくれている姿もステージから見えて、僕の番号を呼んでくれるのも聞こえていて。あの感覚はステージに立ってみないとわからないものですし、本当に心の底から楽しむことができました。
ちびめが それは素晴らしいですね。
高橋 ギリギリでしたけど順位がついたのも嬉しくて、まだまだ自分は捨てたもんじゃないなと思い、これからもボディビルを続けていこうと思いました。もし、まったく手が届かないような負け方をしていたら……続けてはいたと思いますが、今ほど燃えてなかったんじゃないかな。
ボディビルが本当に好きになった
みんなで一緒に勝ちたい
ちびめが ここまでは個人の話でしたけど、クラブを作って、学ボに出たいと思った理由について教えてください。
高橋 もともと僕は剣道をやっていて、全国大会に出たこともあります。比較的意識の高い環境にいたこともあり、何も結果を出さずに終わらせるのが好きではなくて、負けず嫌いなんです。やると決めたものは、何かしら形を残さないと気が済まない性格なんですよ。
ちびめが その性格が、クラブを作る動きにつながっていった。
高橋 はい。何か一つ、形にしたいという思いで、一緒にトレーニングをしていたり授業で知り合った人たちに声を掛けて。とはいえ、クラブが誕生したのはあくまで1つの通過点なので、全国でみんなで勝つということを常に考えています。今はとにかく、結果を出すまではやめられないっていう思いです。まぁ結果を出したとしても、やめることはないだろうなという自信も生まれてきています。
ちびめが 改めて、今年の目標を聞かせてください。
高橋 まずは10月の関東ボディビルに出場するメンバーもいるので、そこに向けてみんなで仕上げていきます。そして“全日本選手権への出場は当たり前”というレベルまでいけたらいいなと思っています。もちろん、僕はまだ1回しか大会に出ていないのに何様だというのもあるかと思いますが、ボディビルのことを本当に好きになってしまったので。学生しか出られない大会で勝ちたい、ただその思いです。
ちびめが 絶対に負けられないと。ライバルに据えている選手はいますか?
高橋 う~ん、目標はもちろんチャンピオンの相澤隼人君(日体大)ですけど、五味原領君(日体大)とか泉風雅君(早稲田大)は同い年ですし、一矢報いたいと思っています。もちろん団体でも上を狙いたい、むしろそれが望みです。僕が全国で優勝するのはちょっと難しいと思っていますが、ここには僕よりも大きい子はいっぱいいるので。
ちびめが 頼もしい後輩たちがいるわけですね。
高橋 僕がクラブを作ったときに、「学生で一番やりたいことをやらせてくれて、ありがとうございます」と後輩に言われたんです。それが本当に嬉しくて。それを力というか、エネルギーにして。みんなが活躍できる舞台を作っていきたいなと思います。僕は4年生だから泣いても笑っても今年が最後です。もちろん僕自身も個人の成績はこだわっていきますけど、みんなで勝てたらいいなって。だからといって、気負いすぎず。失敗しても全然大丈夫だと思っていて。「完璧に仕上がっていれば奇跡」というぐらいの気持ちでいれば、そんなに気負わずに済むのかなとも思っています。みんなで楽しんでボディビルをできればいいですね。
取材/ちびめが 写真/木村雄大