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世界を目指す学生パワーリフターが登場! 細畑幸佑君&富山和郎君【GKB応援団:早大バーベルクラブ編】




学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げるべくスタートした連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。3校目は、日本国内屈指の歴史を持つ早大バーベルクラブが登場! 第1回目となる今回は、パワーリフティングの細畑幸佑(2年)&富山和郎(2年)にちびめがさんが話を聞きました。

ベスト記録更新、それがシンプルに嬉しい(細畑)
パワーリフティングもボディビルも両方やる(富山)

――初めに、バーベルクラブに入った理由を教えてください。
細畑 自分は、大学に入ったらパワーリフティングをやろうと決めていました。高校ではバレーボールをやっていたんですけど、そのときから筋トレにハマっていたこともあって、パワーリフティングという競技を知り、大学に入ったらパワーリフティングをやろうと決めていました。
富山 実は僕、もともとボディビルにすごく興味があったんです。早稲田の付属高校出身なので、早稲田祭のことも、「ミスター早稲田」というものがあることももちろん知っていました。ボディビルをやっている先輩たちを見て、ああいうイカした体になりたいなって思ったのが始まりです。自分も早稲田に入学したらバーベルクラブに入ろうと決めていました。

――富山君はもともとボディビル志望だったんですね。
富山 はい。でも、トレーニング動画を見ているなかで、『ワールド・ストロンゲストマン』(1977年に初開催、世界最強の男を決める怪力コンテスト)というアーノルド主催の大会を見つけて。とにかく“重たいものを挙げたやつが勝ち”という大会で、出場している人たちはみんな、デカくて、強いんですよ。それに憧れて、パワーリフティングもいいなと思うようになったんです。

――パワーリフティング一本でやっていこうと決めたわけですか。
富山 いや、今でもボディビルに興味はありますし、大会にも出てみたいとは思っています。でも、ボディビルとパワーリフティングはトレーニングの仕方が大きく違うというのも身に染みて感じているので、両方とも出場するとの判断は難しいところです。

――細畑君は、逆にパワーリフティング一筋でいくのですか?
細畑 そうですね。もともと入学した頃は、まずは国体出場を一つの目標にしていたんですよ。その後、世界大会に出られればいいなと思い描いていました。大学院1年生でパワーリフティングをやっている先輩がいて、去年ジュニア(23歳以下)の世界大会に出ていて、かっこいいなと影響を受けているのもあります。
富山 先輩の影響は大きいよね。バーベルクラブに入ると、1年生は3年生の先輩からトレーニングを教えてもらうんです。僕は、その先輩がベンチプレッサーで、パワー寄りの方でした。いろいろなトレーニングを教えてもらうなかで、「ビッグスリーが大事なんだ」というところからはじまり、ビッグスリーのトレーニングをしっかりやっていないと、補助種目をやっても効率的な筋肥大にはならないということ教えてもらって。入学時はボディビル7:パワー3くらいの気持ちだったのが、逆転しましたね。1年生の1年間はとにかく、ビッグスリーをやっていました。中でもデッドリフトが一番得意で、逆にスクワットとベンチはあまり伸びなかったです。

――今年も新入生が入ってきました。ボディビル志向の部員が多いと聞きましたが、やはりパワーリフティングに引っ張りたいっていう気持ちはあるんじゃないですか。
富山 引っ張りたい気持ちは少しありますけど、やれといってやらせて楽しくなくなり、トレーニングをやめちゃうのは絶対に嫌なので。せっかく今はトレーニングブームも来ていますし、楽しくやってほしいです。僕もパワーリフティングの大会に出ていますが、もし楽しくないと思ったら、トレーニングをやめちゃうと思いますし。
細畑 僕は、あんまり楽しんでいるという感じじゃないかな(笑)。ベスト記録を更新する嬉しさはありますけど、シンプルにそのためにやっているという感じ。でも最近は伸び悩みもあって……
富山 入ってから伸びるペースが速すぎたたんだよ(笑)。
細畑 2月の国内予選から、6月の世界クラシックパワーリフティング選手権大会@スウェーデン(ジュニア105kg級に出場し12位)までずっと記録が同じで。ちょっとそれはまずいな、って今感じているところです。

――不勉強な質問ですが、「ベスト記録」は普段のトレーニングの中で更新するものなのですか?
細畑 普段の練習でベストを更新することは基本ないですね。トレーニング計画を決めて日々やっていますが、毎回、一番重いのを持ってトレーニングをするわけではないので。2ヶ月に1回、一番重いのを持ってみて、そのときに記録更新できたらいいなと。下がることはないですけど、最近は停滞期というか。
富山 確かに停滞期だけど、またどこかでグンといけるかもしれないし。でも記録が出ないからやめる、ということもないでしょ。
細畑 ないね。何か打開策を探します。

――先ほど、トレーニングの「楽しさ」という話が出ましたが、逆に「楽しくない」と感じる時はありますか? やめようと思ったとか。
富山 僕は、実はパワーリフティング系メインのトレーニング、要はビッグスリーしかやらないようなトレーニングは好きではないんですよ。どちらかと言えばボディビル的な、アームカールとか、ナローベンチとか、三頭筋とか、ハムストリングスを鍛えるとか。そういうトレーニングも混ぜないと楽しくないと思ってしまうんです。今はどちらもやるようにしていますね。
細畑 僕はやめようと思ったことはありません。トレーニングは楽しいですから。ただ、一つ決めているのは、競技をやるのは学生の間だけということです。期間を決めて取り組んだほうが、自分としてはその期間を集中してできるのかなって。社会人になってから中途半端な気持ちで続けたくないなと思っています。だからこそ、学生の間は燃え時ですね。

――世界の舞台に立ってみて何か変わったことありますか?
細畑 今後は、予想外のことが起こり得る世界大会の状況を想定した練習を普段からやっていこうと思うようになりました。今回、日本国内の試合と同じ感覚で臨んだら、世界大会では力が発揮できないとわかったからです。例えば、ベンチ台が日本で使っていたのとは全く違うんです。それにうまく対応できなくて、ベンチプレスではあまりいい結果が出せませんでした。それに、判定も日本よりすごく厳しいと感じましたね。

――最後に、今後の目標を教えてください。
富山 僕はまだ大きな記録は出せていないので、まずは「全日本学生パワーリフティング選手権大会」に出るというところです。入賞したいとか、表彰台に立ちたいという具体的な目標はないのですが、春に出した記録より上の記録を出して、成長を確かめていきたいです。11月には長野県の白馬で「ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会」があるので、そこでどれだけ上にいけるか。もちろん、いずれ世界の舞台に立ちたいという思いはあります。
細畑 僕の目標は、ジュニアのうちに世界で表彰台に立つことです。世界大会は、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトそれぞれの上位3人が表彰されるのですが、どれでもいいのでそこに立ちたい。

――ちなみにお二人はすごく仲良さそうに見えるのですが、ライバルという感じですか?
富山 うーん。ライバルなんて、1人しかいないでしょ?
細畑 まぁ……。

――え、誰ですか?
細畑 やっぱり日体大のシルバ英樹君です。彼とは階級が近く、記録も同じくらいなんです。いつか直接対決で勝ちたいです。
富山 僕としては、細畑がパワーリフティングをやめないうちに、一緒に世界大会に出たいと思っていますよ。
細畑 僕のこと大好きじゃん(笑)。
富山 早く出場しないと、いつやめるかわからないので(笑)。僕はまだ重量も低いですし、あまり大きな実績もないので、ライバルというライバルはいません。でも、ボディビルとパワーリフティングの両方をやるのは続けていたいですね。両方のトレーニングもしたいですし、学生なので当然、勉強もしっかりとやりたい。何か一つだけにならないように、嫌いなことでもしっかりやるのを大切にしていきたいです。

★次回は、ボディビルの3選手が登場!

インタビュー/ちびめが 写真/木村雄大