“筋トレブーム”は本当?【髙田一也のマッスルラウンジ 第55回】薩田有紀代さん②

大好評「マッスルラウンジ」。今回は千代田区飯田橋と港区田町に店舗を展開する、完全個別指導型パーソナルトレーニングジムBiP(ビップ)の代表取締役であり、太極拳の元世界チャンピオンという異色の肩書を持つ薩田有紀代さんが登場。2回目の今回は、パーソナルトレーナーやジムを約20年間見てきた髙田さんが、その変化を語ります。

「昨今の『筋トレブーム』を現場で感じることはありますか?」(薩田)
「『ジム人口』は本当に増えているのかな?という疑問はあります」(髙田)

薩田:最初は誰かに教わったんですか。

髙田:いえ、その当時はまだパーソナルがなかったんです。ただ、ジムの先輩方がすごく優しくていい人たちでした。みんなすごい体をしていて、ベンチプレスも100kgくらい上げていたんですよ。かなり場違いだったなと思うんですけど、わざわざ写真を持ってきてくれて、「僕も昔はあなたくらい細かったんですよ」と見せてくれたり、「がんばれば自分たちくらいになれるんだよ」と教えてくれて。技術を教わるよりも何よりも、それがすごく自分には刺さりました。もしかしたらちょっと勘違いするくらいでいいのかな、自分ももしかしたらこの人たちのようになれるのかなと思って。そこからいろいろなことを学んでいくうちに、筋肉をつけて健康になるのはそんなに難しいことではないのかなと感じるようになりました。そこから3年経って、初めてパーソナルトレーナーの先生に習ったんですけどね。

薩田:教えてくれたまわりの方というのは、ジムの会員さんのわけですよね。

髙田:そうです。そこのジムは上から目線の人もいなかったですし、みなさん親切でした。だから自分も今は仕事になっていますけど、たとえばすごく細い方や体が弱い方が入ってきた時は、始めた頃の自分を思い出します。がんばれば、みんなみたいになれますよと伝えたくなるんですよね。

薩田:それは素晴らしいですね。自分がそういう経験をしているので、気持ちに寄り添える。

髙田:どのスポーツもそうだと思うんですけど、自分もやりたいなと思わせるというのは、その人から相当のよさが出ていないと難しいと思います。セールストークでは通用しない何かが出ていないとダメかなと思いますし、とくにトレーナーはそういった要素が大きい仕事かなと思うんですよね。

薩田:もっと気軽に、それこそ歯を磨くような感じとか、ちょっと頭が痛いから病院に行くというような感じでトレーニングジムに来てもらえたらいいなと思っているんですけどね。まだパーソナルに対して敷居の高さがあるような気がします。

髙田:この業界を20年くらい見てきた自分としては、ずいぶんハードルが下がったと感じますけどね。昔は筋肉なんて、それこそイロモノやキワモノのような雰囲気だったので。鍛えてつくっていくことのよさにはまったく目を向けずに、結果だけを見て批判的になるような感じでした。

薩田:批判的だったんですか。

髙田:かなり批判的でしたよ。そんなに筋肉をつけてどうするんだとか、テレビでもイロモノにしか扱われないとか。それがこの数年でようやく変わってきたので、これからもっと上がっていくと思います。

薩田:それは心強いです。

髙田:昔とは全然違いますよ。「パーソナルトレーナー」という言葉だって、僕が始めた頃は都市部でちょっと知っている人がいるかなくらいの感じでしたし。今ならみんな何となくどんなものかわかるじゃないですか。

薩田:昨今は「筋トレブーム」と言われることもありますが、現場にいらっしゃってそれを感じることはありますか。

髙田:ブームといえばブームかもしれませんけど、よく言われる「ジム人口」は本当に増えているのかな?という疑問はありますね。インターネットの普及で、トレーニングをしている人が目につきやすくなったというのもあると思うんですよ。

薩田:やっている人が隠さなくなったというのはあるかもしれないですね。

髙田:今はSNSのネタとして出したい時代じゃないですか。それを出すようになった分、ブームっぽくなっているのかなという気はします。

薩田:最近はコンビニでも、プロテインバーとかプロテイン系の商品が増えていますよね。チョコレートを食べるんだったら、おやつ代わりにプロテインバーを食べようかな、みたいな。髙田さんは普段、何を食べていらっしゃるんですか。

髙田:ほぼ自分でつくっています。365日、ほとんど変わらないですね。ただ鶏のササミを茹でただけとかなので、全然凝ったものはつくれないですよ。

薩田:ただ茹でるだけといっても、それが毎日だと大変ですよね。

髙田:もう慣れましたけどね。トレーニングと同じで、どんなに忙しくてもやることのひとつになっているので。自分のクライアントさんたちも、自然とそんな感じになっていくんですよ。押しつけているわけではないんですけど、自分がやっていることを見てマネをしてくれて。自分が全然お酒を飲まないので、みなさんも勝手に飲まなくなってくるとか。

薩田:アルコールは飲まれないんですね。

髙田:今年はまだ一滴も飲んでいないですね。去年はお付き合いで2回飲んだかな。

薩田:本当は飲めるんですか。

髙田:量は飲めるようになりました。細かった頃はすごく弱かったんですけど、体を鍛え始めてからは飲めるようになってしまって。

薩田:今日はがんばったからビールで乾杯、とかはないんですか。

髙田:まったくないですね……。がんばったので、さらにもっと体にいいことをしようと(笑)。

薩田:たぶん、そういうところなんでしょうね。生きざまがお客様に伝わるというか。

髙田:そのくらいやっていないと、人に影響は与えられないと思うんですよ。自分も来年で50歳なので、50代、60代をどう生きていくかをすごく考えるようになりました。

薩田:本当にみなさんの見本ですね。

取材・構成・撮影/編集部

髙田一也(たかだ・かずや)
1970年、東京都出身。新宿御苑のパーソナルトレーニングジム「TREGIS(トレジス)」代表。華奢な体を改善するため、1995年よりウエイトトレーニングを開始。2003年からはパーソナルトレーナーとしての活動をスタートさせ、同時にボディビル大会にも出場。3度の優勝を果たす。09年以降はパーソナルトレーナーとしての活動に専念し、11年に「TREGIS」を設立。自らのカラダを磨き上げてきた経験とノウハウを活かし、これまでに多数のタレントやモデル、ダンサー、医師、薬剤師、格闘家、エアロインストラクター、会社経営者など1000名超を指導。その確かな指導法は雑誌やテレビなどのメディアにも取り上げられる。
TREGIS 公式HP

薩田有紀代(さつた・ゆきよ)
株式会社BiP代表取締役社長。大日本印刷株式会社、株式会社クロス・マーケティングを経て2018/4~BiPに参画。会社員時代から、太極拳の武術的動きの真髄を用いた身体の根本的な動かし方と、陰陽五行論に基づく考え方をお伝える活動を行う。印刷会社における研究所や工場の生産性向上・人材育成・教育の経験、消費者調査やマーケティング理論に基づき、独自の視点でBiPの経営を行っている。「人はなぜ、カラダを変えたいのか?」。人間心理に基づく、BiPオリジナルトレーニングメソッドを提供。
●太極拳実績
・2013年、太極拳世界大会優勝
(楊家老架式太極拳108式:白級個人戦・団体戦)
・2015年、太極拳世界大会。
黄級個人戦2位、藍級団体戦3位
・2017年、太極拳世界大会優勝
(楊家老架式太極拳108式:黄級個人戦)
BiP公式HP