連載100回到達。大事なのは積み重ねです。【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第100回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 「週刊VITUP!」が連載100回目を迎えました。今週は100回記念として……と言いたいところですが、大事なのは日々の積み重ねです。というわけで特別なことはしません。

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日々の積み重ねといえば、日々のトレーニング。先日、久しぶりに軽いランニングをしました。ふくらはぎの肉離れをしていた影響で、1カ月以上走っていなかったような気がします。まだ完治していないのでこれまでとは同じように走ることはできず、あくまでもリハビリの一環として軽く走りました。

普段と比較すると物足りないくらいに抑えておいたのですが、想像以上に負荷がかかっていたようで、翌日、太ももに強烈な筋肉痛が襲ってきました。ランニングをしていなかっただけでなく、日常生活でも歩く距離を短くしたり、階段をなるべく避けたりしていた影響もあり、太ももの筋力が著しく低下していたようです。その結果、軽いランニング程度の運動で筋肉痛に見舞われたというわけです。

恐ろしい。これは実に恐ろしいことです。週に3回、1日5㎞程度のランニングをしていた人が、1カ月空白の期間をつくっただけでこれだけ劣化する。筋力の低下とはなんと恐ろしいことでしょう。以前、石井直方先生の連載「VIVA筋肉」でも紹介されていたように、足の筋肉はとくに衰えやすいもの。何もしなければ確実に衰えていきます。筋肉の衰えは本当に恐怖です。

さて、高齢化社会の現在は各都道府県でフレイル予防、フレイル対策が講じられています。フレイルとは、「Frailty(フレイルティ)」が語源となっていて、日本語にすると「虚弱」「老衰」を意味します。つまり、加齢により心身が老い衰えた状態を指すものです。このフレイル状態が続くと、身体能力の低下を招き、病気にもかかりやすくなります。そして、要介護、寝たきり状態へ。最悪の場合は死亡率も上昇すると言われています。とても危険なフレイル状態から、健康に近い状態に改善するために、もっとも効果的とされているのが運動なのです。

もちろん、全身が筋肉痛になるようなハードなトレーニングが必要なわけではなく、日常生活の意識を少し変えるだけでもOK。便利な世の中を不便にするという発想です。インターネットでの買い物をやめて、外に歩いて買い物にいく。エレベーターやエスカレーターは使わない。乾燥機は使わずに物干しに洗濯物を干す。クイックルワイパーではなく雑巾で拭き掃除をする。セルフサービスの飲食店を利用する……etc。生活にひと手間加えるだけで運動量が増えます。

自分に厳しくできる人間はほんの一握り。だから無理して大きく積み上げようとするのではなく、小さなことを積み重ねる。そんな発想が大事なのでしょう。負傷により不便な生活をしてみて、積み重ねの大切さを改めて実感しました。

 

最後に、冒頭では100回記念の特別なことはしないと記しましたが、一つだけ100回目ならではのネタを紹介しましょう。毎週読んでくれている方にはおなじみの最初の挨拶についてです。「VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか?」のフレーズは、テンプレートではありません。実は過去に9回ほど、このオープニングとは違う始まりをしていることがあります。直近は新年の挨拶バージョンだった第97回です。残りの8回はどこにあるのか、ヒマなときにバックナンバーからぜひ探してみてください。それではまた来週。

 

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。