貞苅さんと小池さん。どちらも本名ではない【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第101回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 雪が降ったかと思えば、季節外れの温かさの日があったり、寒暖差の激しい1週間でした。体調を崩さないようにお気をつけください。

さて、故障も癒えて、週3回朝8時からのトレーニングの日常が戻りつつあります。過去にもコラムで書いたように、基本的には出社前の朝8時からの1時間少々が私のトレーニングタイム。朝は急な予定変更がなく、確実に実行できるというのが一番のメリットです。一方で起床からあまり時間が経っておらず、パワー全開とはいかないデメリットもあります。時々、昼帯にジムに行くとビックリするくらい力が出て自分でも驚きます。

ジムに行く時間を固定していると、その時間にジムにいる人の顔ぶれも、だいたい固定されています。他の方たちも同じような理由で、決まった時間に通っているのでしょう。ところが故障中は病院にリハビリに通っていた影響で、トレーニングのルーティンを崩さざるを得ない状況でした。時間が少しずれるとジムにいる顔ぶれは変わり、違う場所に来たような気分でした。

朝8時のジムはあまり人がいません

現在のジムに通い始めて1年半、最低でも週に1回は顔を合わせる人が何人かいます。いつも会っているけど名前は知らない人がいる。これは“ジムに通っている人あるある”だと思います。通勤や通学の電車で、いつも同じ時間、同じ車両で会う人がいるのと同じ感覚です。第4回のコラムで書いたように、私は名前を知らないジム仲間に勝手にニックネームをつけていました。現在、頻繁に顔を合わせているメンバーも同様です。

たとえば「モーリス」。彼はガタイのいい黒人で、格闘家のモーリス・スミスのような雰囲気を醸し出しているため、そう命名しました。「貞苅(さだかり)さん」は、仕事でご一緒している貞苅さんに似ているのがニックネームの由来で、本名ではありません。「チョビヒゲ」はその名の通り、マンガみたいなチョビヒゲがトレードマークだから。他にも「タノムサク鳥羽XLサイズ」、「帽子の人」……etcなどがレギュラーメンバーです。

朝は出勤前の限られた時間のせいか、黙々とトレーニングに集中している人が多い印象です。基本的に会話をしている人はいません(そもそも人が少ない)。そんななか、約1カ月ぶりに8時のジムに行くと、貞苅さん(本名は不明)から「お久し振りですね。お仕事忙しかったんですか?」と突然話しかけられました。やはり向こうも同じ時間にいることを認識していたのですね。確かに突然会わなくなると気になります。それから少しの時間、ケガをしていて同じ時間帯に来られなかったこと、会社がすぐ近くであることなど会話をしました。出会って1年半、初めての会話。しかし、名前を聞くことはできなかったため、貞苅さんの本名はわからないままです。

適当なニックネームをつけていると、会話には気をつけないといけません。週刊誌の記者時代に、同じ取材現場に「ラーメン大好き小池さん」に似ている先輩記者がいました。彼の本名は違うのですが、仲間うちでは「小池さん」というニックネームが浸透していました(本人には内緒)。その方と記者室で2人になって会話をしていたとき、うっかり「小池さん」と呼んでしまい、物すごく気まずい空気になったことを思い出します。単なる言い間違いではなく、裏で「ラーメン大好き小池さん」と呼んでいることはバレたでしょうね。

話が脱線しました。いつもの顔ぶれがいるジムに戻り、日常に戻ったことを実感したという話でした。習慣化するというのはこういうことなのでしょう。「小池さん事件」のようなうっかりがないように、今度は貞苅さん(本名は不明)に名前を聞いてみます。そしてタイミングを見て、「My Training Life」への出演オファーをしてみたいと思います。

 

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。