「走るフードコーディネーター」川﨑泰代さんに体づくり、健康づくりのための食事と栄養について教わるこの連載。第2回はランニングに必要な栄養について。
走る女性に必要な栄養素
まず基本は「バランスよく食べる」こと。そのうえで運動する女性に特に必要な栄養素は何かといえば、競技や種目でも違ってきますが、「スポーツをする=エネルギーをたくさん消費する」ために必要なものになります。たとえば、ランニングでは糖質。ごはんなどの主食はしっかりとるようにします。糖質は、ごはん、麺類、お餅、バナナ、イモ類などに多く含まれます。
鉄分も大事です。女性は特にスポーツ性貧血を起こしやすいので鉄を多めにとるようにします。そしてビタミン。野菜や果物に含まれるビタミンは体の中の水分をうまく調整してくれるからです。今挙げた3つ、糖質、鉄分、ビタミンは意識してとるようにしてください。鉄分を多く含む食材は、まずはダントツがレバー。鉄分は赤身肉などに含まれる動物性と、ホウレンソウ、ヒジキなどに多い植物性に分けらます。
ここで覚えておいていただきたいのは、植物性よりも動物性のほうが吸収率がよく、効率よくとれるということです。植物性の鉄分は動物性の鉄分と一緒にとることで吸収率がよくなるので、ホウレンソウのおひたしにかつおぶしをまぶす定番メニューは理にかなった食べ方だといえます。
ビタミンは野菜や果物からでもとれますが、疲労回復を目的とするならばビタミンB1を多く含む豚肉がおすすめです。豚の生姜焼きは、一緒に炒める生姜、タマネギ、ニンニクのアリシンという成分がビタミンB1の代謝を助けてくれます。いわゆる定食をイメージすると、この3つを含む献立はつくりやすいと思います。
走るためにはエネルギーが必須
では、運動の前に食べるとよいものは何でしょうか。これも競技によりますが、スポーツ全般、特に持久力が必要な運動(エネルギーをたくさん使うスポーツということですね)をする前には、疲労を軽減させるためにも糖分を多くとっておいたほうがいいです。これは甘いものを食べるのではなく、ごはん、パスタ、うどんといった主食を食べるということ。マラソン競技の際、私はだいたいスタートの3時間前にはバランスのとれた食事をとるようにしています。時と場合によりますが、ごはん、おかず、味噌汁といった組み合わせの食事です。
そして30分前にはバナナなど消化が早いものをとるようにします。どうしても食べられない場合はゼリー飲料のようなものを口にします。走っている途中でスタミナ切れを起こした経験があるので、胃の中をからっぽにしたまま走るようなことは絶対にしません。
走ったあとも、ゼリー飲料やスポーツ飲料などで極力すぐに糖分を補給するようにしています。糖質とタンパク質が一緒にとれれば、なおいいです。おにぎりでは鮭のおにぎりなど。
今後、今話題のスーパーフードの適した利用法や日本食のだし文化(アミノ酸)の利用法、最近のダイエット・医療現場で注目されている補食という考え方、足りない栄養を補うためのサプリメントの上手な使い方や、筋肉をつけてしっかりした骨格をつくるためのプロテイン利用法、などについてもお話ししていきたいと思います。次回は、紫外線対策の食事法についてお話します。
※本記事は、2017年に公開した記事に加筆・修正を加えたものとなります
川﨑泰代(かわさき・やすよ)
フードコーディネーター。アスリートフードマイスター。食育インストラクター。IHクッキングクリエーター。小学生のころよりバレーボールを始め、以来スポーツが生活に欠かせないものとなる。「走るフードコーディネーター」として、自らもフルマラソンに挑戦するなどアスリートとしての顔も持つ。自身の経験から「強い体と心は『食事』で作られる」と言うコンセプトのもと、一般アスリートからトッププロまで幅広く食事を指導。テレビ、ラジオ、雑誌などメディアでも活動している。
川﨑泰代公式HP