前回まで4回にわたってセルフケアの基本的な考え方を説明してきました。
今回は少し実践してみましょう。
①ベッドの上に仰向けになり、肋間筋と横隔膜を意識しながら大きく5回深呼吸。その際、四肢の重さを感じられるほどダラリとリラックスさせることもポイント。
②両膝の状態を比べて、膝裏(写真)がより浮いているほうの脚を感覚的に判断する。
③膝がより浮いていたほうの脚を反対側の脚にかける。同時に、膝にかけた脚と反対側の腕をゆっくり頭上に上げ、胸郭を引き上げていく。この体勢をとることによって、左の外腹斜筋と右の内腹斜筋が同時にストレッチされる。この状態をキープしたまま再び5回深呼吸。
④次に、両手を頭上に上げながら、膝にかけていた脚をベッドの下に落とすようにひねっていく(床の上に寝て行なってもよいが、段差があるほうが膝の外側がしっかり伸びて、かつ脚の重さも利用できるので、一石二鳥)。すると、臀部、大腿筋膜張筋がストレッチされる。この状態をキープしたまま再び5回深呼吸を繰り返す。①のポジションから③の中継点を経ず、一気に④のポジションに移行すると、パーツが長いため、弱いところだけが先に伸びていってしまう。したがって、③の中継点を経ることがポイントとなる。反対側も同様に行なうことで、スパイラルのライン(左の外腹斜筋→右の内腹斜筋→臀部→大腿筋膜張筋→腸脛靱帯→足底)を効果的にストレッチしたことになる。
⑤仰向けの状態から片脚を伸ばし、膝に手をかけて大腿二頭筋と長腓骨筋をストレッチする。その後、足首を背屈させていく。反対側も同様に。
⑥~⑧座骨をしっかり床につけ、長座となる(⑤を経れば、座骨は左右均等につくのが感じられるはず)。しっかりポジションを整えてから、片脚ずつ底屈→内転→内返し→底屈位に戻す→外転→外返し→底屈位に戻すを、繰り返す。決して無理をせず、可動範囲内に留めて優しく実施すること。内転は拇指からリードし、外転は小指からリードしていくのがポイント。反対側も行なう。
①~⑧を実施するだけで、日々の活動で酷使されている腹部から胸郭、臀部、大腿部、さらに足部までのスパイラルラインがきれいにケアされ、足元の動きに安定感が生まれる。
プラスワン・ケア
⑨~⑪仰向けに寝た状態で、身近にある筒状のガラス瓶もしくはテニスボールなどを利用し、後頭骨のラインの下に置く。体調は頭のポジションによっても決まってくるので、後頭骨をリリースするだけで身体はリラックスできる。顔を左右に振るなどして、心地よさを味わおう。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
Scandic care (スカンディックケア)
〒162-0056 東京都新宿区若松町10‐1 YSビル2 F
Tel. 03-3208-2543
Mail:info@scandiccare.jp
営業時間:平日. 11:00 ~ 21:00、土日祝. 11:00 ~ 20:00
公式HP
アー・ドライ治療院(新宿区)
ホームページ未公開。2020年3月現在、新規受付はできない状況です。スカンディックケアにお問い合わせください。
取材/光成耕司